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新風舎文庫
海を感じる時

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  • サイズ 文庫判/ページ数 221p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784797495843
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

「…「抱いて下さい」…私は高野に向かって、りんとした声でいいきった。「ここに退部届けがあります。来週から部はやめます。だから今日、抱いて下さい」…」(「海を感じる時」)あれは愛だったのだろうか。それとも―。不安定で多感な少女期の異性体験と母と娘の対立をみずみずしい感性で鮮やかにとらえた、中沢けい十八歳のデビュー作。群像新人文学賞受賞作品。デビューから六年後に書かれた『銀の雫滴る岸』と巻末には群像新人賞受賞当時の選評・書評をあらたに併録。

著者等紹介

中沢けい[ナカザワケイ]
1959年神奈川県生まれ。作家。明治大学政治経済学部卒。1978年18歳のときに応募した小説『海を感じる時』で、第21回群像新人文学賞受賞。1985年『水平線上にて』で第7回野間文芸新人賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Automne

7
中沢先生の若かりし頃。文体の瑞々しさ、シンプル、引き算の文學とは。 女同士で混じり合う生理のどす黒い海。家族は家族である前にひとであり、男であり、女である。 灰色に混ざらなければ死ねない。それはパレットに能動的に独自の色をつくりあげてゆくのか、それとも受動的に持っていた色を外界の環境によって灰色にぐちゃぐちゃにされるのか、ということ。往生と自殺、寺山修司と藤村操。 この感覚を忘れぬよう。生きているというその感覚を、海を感じるその時を。2018/11/22

HH2020

5
◎ 瀬戸内クルーズに行く直前、バタバタと図書館で旅のお供を見繕った。文庫本の書棚に並ぶ背表紙をざっと眺め、書名だけを頼りにチョイス。吟味している暇はない。「海を感じる時」・・・ぴったりだ。迷わず手に取った。昭和53年(昔!)群像新人文学賞を受賞した作品だった。そんなことはつゆ知らず。しかも著者は18歳の女子高生(!)。当時選者の先生方がびっくり仰天したのも無理はない。内容は十代微妙な年頃の娘の異性体験小説。普段、書評か読メで選ぶ私がこの本を手にすることはまずないのだが、たまにはこんな形の出会いもありだな。2022/08/08

kaori

5
映画化されるというので興味があり、読んでみた。(映画の方が気になるのが本音)昭和53年発行なのに時代を感じさせないストーリーの進行。どうしようもない高野との関係をずるずると続ける恵美子にじりじりとした歯痒さと粘りつくような情念のようなものを感じ、母娘のお互いを愛しているのにどうしても丸ごと愛せない親子。相手に見える女の業が、黒い血の海のように背景にあるのが読み取れる。それでも上手い展開にすんなりと読了。短いながら勢いがあった。18歳で書いたという。それを考えると、悶々とした少女だったのかなと…2014/09/14

鉄路のほとり

4
今、中沢けいの小説を読む人って一体どれくらいいるのだろう。僕は、最初に読んだ時からこの人の研ぎ澄まされた文体と、抑制をきかせつつ沸々とたぎるような感情表現に惹かれてきた。改めて読み、彼女の文章のテンポ、平易だが選ばれた言葉遣い、は洗練されたものだと感じた。2012/07/29

wakaba

3
わたしはこれをよんでああ、こうやって大人になってゆくのだなあとただしずかに感じたわたしのなかにこんな「女」がいるのだろうか。男と女ってなんだろうか「ぼくはね君じゃなくてもよかったんだ」2014/10/10

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