内容説明
「内面化する権力」というミシェル・フーコーの画期的な権力論は、精神医学を政治学の中心に据えることを可能にした。フロイトの精神分析理論から現象学的精神病理学、さらにはラカンなど今日の精神医学の研究成果を通して、ポストモダン社会が産みだしたさまざまな病状―崩壊する家庭・家族、学校化、セクシュアリティ、自殺願望、理解不能な暴力、嗜癖的・共依存的人間関係(ストーカー、DV=家庭内暴力)カルトなど―を、単なるこころの病としてではなく権力をめぐる社会・時代の病理として根底から捉えなおす大胆な試み。
目次
誰のものでもなく、誰も意図しない権力
善良な意図が邪悪な結果を産みだす―世界の混沌と「たわむれ」
主体の秩序、身体のカオス
外なる大地、内なる大地
すべては結びあわされている―システムの思想
わたしを監視するわたし
魂の救済、または牧人=司祭権力
禁欲、または自己抑圧の倫理
すべての者は正常でなければならない―普遍的、一元的規格の成立
正常なもの、自明なものとは何か〔ほか〕
著者等紹介
若田恭二[ワカタキョウジ]
1941年生まれ。大阪大学法学部卒業。関西学院大学大学院・修士。ライス大学大学院(米国)Ph.D.1980年より関西大学法学部助教授、教授(政治心理学)、現在にいたる。1982~84年、スタンフォード大学(米国)客員研究員。1988~90年、ケンブリッジ大学(英国)客員研究員
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