内容説明
本書では、語り手の声が紡ぎ出す一個人の主観的な意味やアイデンティティをできるだけすくい取り、インタビュアーとの相互行為を通して社会や文化の変動を読み解くライフストーリーの技法を永年にわたるフィールドワークの実践から解き明かす。
目次
1 ライフストーリーとは何か―歴史とアプローチ
2 社会関係としてのインタビュー
3 相互行為としてのライフストーリー
4 ライフストーリーの解釈
5 ライフストーリーの社会的脈絡
著者等紹介
桜井厚[サクライアツシ]
現職は千葉大学文学部教授。専攻はライフヒストリー/ライフストーリー研究、社会問題の社会学
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感想・レビュー
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富士さん
3
今やっているインタビューのまとめ方に不安を覚えて再読。ライフストーリーの定義とか質的調査における「飽和」の概念とか、勉強にはなりましたが、ライフストーリーを突き詰めて行くと何かを聞くためにインタビューするのではなく、インタビューをするためにインタビューすることにならざるを得ないのではないかと思ってしまいました。タイトルのように、インタビューを社会学理論から見た場合には理解できますが、そこは研究で行わないといけない課題というより、調査倫理や社会学の公準という別次元の問題とすべきではないかと思うのです。2020/07/27
まつゆう
0
個人的にインタビューで論文を書くというのは難しい印象があって敬遠していた部分があるのだが、対照的な方法の認識的前提などを知っておくと役に立つだろうという意味でひとまず一回流し読み。筆者のいう相互行為的な構築主義アプローチは納得はするのであるがそれを更にスクリプトとして落とし込んだ時にどう表れるのかはまだよくわからん。2015/08/30
天茶
0
★★★★★2013/07/31
Sanchai
0
「ライフストーリーの聞き方」と副題でうたっているので期待してアマゾンで注文して購入したが、ハウツーに辿り着くまでに挫折した。前に使っていた人のマーカーを参考にして拾い読みに徹したが、こんないろいろな含意がインタビューでの質問の端々にあるのだとしたら、インタビューをするのがかえって怖くなってしまった。2013/03/17
富士さん
0
人から話を聞いて情報を集めるという行為は別にインタビューっていうシチュエーションだけじゃなくて日常誰でもやってるものなので、ある程度だれでも、どこでも切実な話題だと思います。 仮にそのインタビューでの話に何の意味もなくても、話をしてるっていう意味があるだけでそのインタビューには価値がある、そこが重要なのでしょう。そもそもワタシとしては、こういう調査はこう聞き、こう感じ、こう考えたってことを誠実に報告するのが重要で、後は読者の責任だと思うので、客観性とかをはじめから求めるのは疑問なんですけどねぇ。 2012/11/27