内容説明
女性とはなにか、女性はいかにして作られるのか―フロイトのテクストを丹念に検討しながらその矛盾にみちた女性観を独自の視点から分析・解読することで複雑多様な女性性や女性のセクシュアリティの本質に迫る。
目次
第1部 謎とヴェール(男と女の闘い;思弁、観察;フロイトの遅延;他者;刺激的な謎)
第2部 フロイトは探求する(女の謎への関心;差異の直接的確実性;解剖学によってもたらされる決定不能性とアポリア;心理学の不毛と無能;精神分析―子どもが女になる)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒナコ
2
女児がペニス羨望を抱いていなかったら、女児はどうなってしまうのか?女児が自分だけで満ち足りているとしたら、女児は女性に同一化するのだろうか? フロイトの精神分析を忠実になぞりながら、フロイトが言い忘れてしまった問いがコフマンによって蘇る。女児が自分の性器をペニスが去勢された結果だと認識する時、一体誰の視点でその喪失体験を味わっているのかという問いをフロイトの理論に沿って考察される中で、フロイトによって捏造された女児の喪失体験はフロイト自身のペニスへの「固着」である可能性が示される。2018/01/15
Bevel
1
自分のフロイトへの関心はジラールとコフマンの中間なのかな、と思った。「リビドーを一元的に捉えるのが正しい」という点ではジラールに共感するし、「女性の自己充足やらナルシシズムが存在する」という点ではコフマンに共感する。けれど、それ以上の正しさはフロイトが前提とする純粋な男も、純粋な女も存在しないという点を徹底させることにあるんじゃないか、と思った。折り紙をある仕方で折ったら男の子になって、別の仕方で折ったら女の子になる。われわれはたくさん折り紙を持っている。こういうことじゃないのかなってぼんやり思う。2012/10/26
rui_hua_
0
ファムファタールと〈不気味なもの〉の接続をやろうかな2022/10/01