内容説明
全世界185万床の約5分の1、実に約35万もの病床を保有する日本の精神医療。脱収容化が進む先進国の中にあって、なぜ日本だけがこれほどまでの病床を保有し続けているのか。あまりにも多い病床を埋めるべく、「寝たきり」ではなく「寝かせきり」にされる世の認知症高齢者たち。そして、病院の経営維持のため長期入院を強いられ、人生そのものを台無しにされた、夥しい数の「入院加療の必要のない人びと」。先の大震災では、多数の高齢者の死や1カ月にわたる遺体の院内放置など、改めて精神医療現場の杜撰な体質が浮き彫りとなった。患者の人権を無視した日本の精神医療が抱える“病巣”に鋭く切り込んだ一冊。
目次
第1章 3・11―そのとき、入院患者は(精神科病棟への面会;半年ぶりの再会 ほか)
第2章 精神医療の元凶「保護者制度」(夥しい数の社会的入院者;世界的にも異常な数字の日本 ほか)
第3章 患者が病院の固定資産にされるカラクリ(「斜陽のイギリスから学ぶものは何もない」;病院による強権支配体制の恐怖 ほか)
第4章 抑圧された収容生活からの脱却(“殺人病院”を訪ねて;大和川病院の暴力体質 ほか)
著者等紹介
織田淳太郎[オダジュンタロウ]
1957年、北海道生まれ。早稲田大学卒。ノンフィクション作家。スポーツへの造詣が深く、野球・ボクシング・陸上などに題材をとったノンフィクション、コーチング本を数多く著す。また、自身のうつ体験もあり、精神医療分野のノンフィクションも手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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