内容説明
14世紀、ルネサンスを喚起したダンテの『神曲』は19世紀、ドレが挿画本にすることで視覚芸術に革命を起こした。スーパースターの共演が、現代のルネサンスマン・谷口江里也の言葉を得て21世紀のいま、時空を超えて蘇る。
著者等紹介
谷口江里也[タニグチエリア]
詩人、ヴィジョンアーキテクト、スペースコンポーザー。石川県出身、横浜国立大学工学部建築学科卒。イマジネーションと表現と変化をテーマに、グローバルなシーンで、詩人、表現史家、随筆家としての著述をはじめマルチクリエイターとしてジャンルを超えた活動を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
102
講談社ヘリテージシリーズで読んでいますが、改めてこのような形で読むと世界観がより広がります。ダンテの見てきた冥界が、ドレの美しい絵と現代風の小説によって物語られることにより、リアルに迫ってくるようでした。絵本のような1冊ですが、絵本と言うには贅沢ですね。映画を見ているような感覚にすら陥ります。壮大な物語を見事に視覚化しつつ、世界観は失っていないので、古典的名作『神曲』の導入としてもいいですね。2017/10/02
里愛乍
56
一度真面目に読んでみたいと思っていた有名な古典でもあり、そのあまりの大きさと分厚さに気合いを入れて開いてみると、中身はとても美しい挿絵と現代物語風文体で訳された、想像以上に読み易い良書でした。地獄→煉獄→天国と旅するダンテの目や感情を通して私たち読み手はその冥界の様子を知ることができます。特にマルボルジェの描写は目を覆いたくなるほどリアル。全体的にドレの挿絵が素晴らしく、絵本というには贅沢すぎます。最終ページは思わず『デビルマン』のラストが連想されてしまいました…2017/04/14
マリリン
53
多才な顔を持つドレとダンテの『神曲』との共演から伝わってくる旋律は、児童書も含み数冊の神曲を読んだ事で味わい深いものとなった。繊細で幻想的な画風は好み。原訳に地獄全図があり構造を把握できたのは大きい。 時代の流れの中での思想や、信仰に対する考え方の変化とともに、『神曲』が多くの作品に取り上げられたのは、或る種の叩き台のようなものなのかと思った。「私は“ここ”にいる」という言葉を思い出した。「“私”を構成しているものの大半は...過去からのプレゼント」...詩人である訳者谷口江里也氏の言葉が深い。以下長文↓2021/11/16
優希
48
『神曲』の世界観がコンパクトにまとまっている印象を受けました。ダンテの見てきた冥界が、ドレの美しい挿絵と現代風の小説によって語られることで、リアリズムを感じます。壮大な物語を視覚化しつつ、ダンテの世界観を壊していないのも良いですね。2024/03/21
金吾
36
◎神曲は好きな話で色々な人の訳で読んでいますが、この神曲は意訳と感じる部分はありながらも要点を上手くまとめていて、簡単にあらすじを理解することが出来ます。それ以上に挿し絵が素晴らしく神曲のイメージがそのまま伝わるような気がしました。2023/04/28