内容説明
古典的ベストセラーともなった、環境問題への警告の書『沈黙の春』の著者レイチェル・カーソンは『われらをめぐる海』など海を語る著者としても有名である。本書は、1941年に刊行された彼女の処女作であり、彼女のよってたつ原点ともいうべき作品である。海辺に生きる生きものたち、海鳥やカニ、そしてさまざまな魚たちが織りなす営みを、活き活きと美しく描いた、胸躍らせる自然文学の最高傑作。
目次
1部 海辺(上げ潮;春の飛翔;北極圏の出会い ほか)
2部 沖への道(春の回遊;サバの誕生;プランクトンの狩人 ほか)
3部 生命の回遊(海への旅;海の越冬地;回帰)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
42
デビュー作(1941)にして、海の三部作の第一作。米国内務省漁業局(のち魚類野生生物局)の生物技官在職中に広報官として書いた本だが、環境保護の歴史を拓いた「沈黙の春」(1962)の思想の萌芽がすでにある。一読えらく奇妙だ。小説でもないのに主人公はアジサシ(カモメの一種)とサバ(鯖)とウナギ。それぞれリンコプス、スコムバー、アンギラという名前が与えられている。そして一人称視点。海の生物の視点で、海鳥や魚が生まれ渡りや回遊をし死ぬ(他の生物に捕食される)までの一生を、生物学の知見により語る"物語"なのだ。↓ 2016/05/08