内容説明
鋭く、あたたかい人間観察と文明時評。モラリストの獅子文六の真髄をここに。洋の東西の違いを軽妙なタッチで語るとともに、節度ある日本を愛し喧騒の日本を憂う獅子文六の人生観、人間観のにじみでた好随筆と好短篇集。
目次
山の手の子
町ッ子
ロンドンの男と女
ポール軒
マロン・グラッセの教え
きのこ料理
野菜洋食
フランス女
イサム君
アイマイ語〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
桜もち 太郎
5
久しぶりにいい短篇随筆集を読んだ。「初雲雀」がいい。戦時中に空襲から逃れるためにやってき田舎にもB29が連日のようにやってくる。畑仕事の最中に隣地の変電所を狙うB29。その時、高く飛び立った雲雀の鳴き声、涙が出てきたというくだり。「二十年の収穫」も良かった。戦争に負けたことをマイナスとせずに種をまくのが昭和二十年、「日本のような世界の憎まれっ子に、資本なぞ融通してくれる者は、天より他はありはしない・・・・」、今の日本の現状を顧みて胸が痛む。「田舎の子供」もいい、疎開中の田舎で二階から見る釣りをする二人の→2014/06/10