内容説明
諸悪の根源、「教育改革」。大学教育の停滞の原因はシラバス(授業計画)の欠如にあった。教育学も文科省も踏み込めなかった大学再生の道標。
目次
第1章 一九九一年「大綱化」以降のシラバス
第2章 「概念概要」型シラバスと「時間」型シラバスと
第3章 コマシラバスによるカリキュラムの構築
第4章 「コマシラバス」という言葉と一〇年後のシラバス論
第5章 終わりにかえて―新しい人材像とシラバスとカリキュラムと
附論1 大学入試改革と人物評価主義について
附論2 学校教育における“キャリア教育”とは何か―芦田宏直×本間正人トークセッション
著者等紹介
芦田宏直[アシダヒロナオ]
1954年京都府生まれ。早稲田大学大学院博士後期課程満期退学(哲学、現代思想専攻)。学校法人小山学園理事、同・東京工科専門学校(現東京工科自動車大学校)校長、東海大学教授を経て、現在、学校法人河原学園理事、同・副学園長、人間環境大学・副学長、辻調理師専門学校グループ顧問。2000年度労働省「IT化に対応した職業能力開発研究会」委員、2003年度経済産業省「産業界から見た大学の人材育成評価に関する調査研究」委員、2004~2007年度文科省「特色ある大学教育支援プログラム」審査部会委員、2008年度文科省「質の高い大学教育推進プログラム」審査部会委員などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ろくせい@やまもとかねよし
136
昨今の大学改革を警鐘し、その改善となるシラバスを論じる。著者の専門である哲学、大学制度の世界的変遷、そして日本の大学改革経緯を多面的にもちい、独自の「シラバス論」を解説。91年の国内大学におけるカリキュラム自由化に端を発し、「シラバス」「オフィスアワー」「セメスター制」「GPA」「授業評価」などの導入自体が改革目的となり、その本質が形骸化していると指摘。シラバスは、カリキュラムの構成要素である授業を前提にして、その教育目標を学生と共有し、学生が授業内容の達成や理解できる取り組みの指針であるべきと提案する。2021/09/14
まさきち
2
圧倒的.浅薄な批判は,これでもかという量でつぶしてある.コマシラバスの妥当性はとてもよくわかった.索引が言葉についてだけで100ページ,人名索引に25ページ,参考文献で22ページ.これだけの裏打ちがあっての論なので,そこらの人間が考えた,ぼくのかんがえるさいきょうのしらばす,なんてものは太刀打ちできるはずがない.今まで,自分がしてきたシラバスへの批判は妥当だったけれども,その対策は逆ベクトルだった.もっと書かないといけなかったのだ.2021/03/03
shin
2
標題に著者のこだわりを感じるが、昨今の「教育改革:を批判的に検討し、高等教育の向かう先についての提言が書かれている。文献考証と注によりページ数が膨らんでいるが、論は明快。誰でも語れるテーマなだけに、きちんと考証され読む価値のあるテクストは少ない。厚さにビビらずに一読を。2020/01/13
HOUKAGO
1
一コマの授業を体系の中でどんな位置付けで捉えるのか、尽き果てぬ説明することがいかに必要なことなのか、ただおしゃべりをするだけの授業に成り下がってはいないか、自分の専門性と対峙しているか。 どこを読んでも実践を省みる本だった。コマシラバスを作ることまでを含めてこの本を読んだことになるだろう。2020/05/02