内容説明
地下鉄サリン事件を境にして、日本のメディアの現場は「右へならえ」的思考停止状態に陥り、さらに9・11テロ事件以降、国際的なレベルでもこの思考停止の輪は広がった。いわく、狂信者、残忍な凶悪集団、ならず者国家、正義対悪の枢軸の闘い…。しかし、はたして世界は、このような善悪の二元論で単純化できるものだろうか。オウム信者も、アルカイダもタリバンも、イラクのバース党員も北朝鮮の工作員も、皆ひとりひとりは、笑い、泣き、怒りながら日々の生活を営む生活人。だが、そうした他者に対する想像力を失うとき、人びとの間に悪夢のような憎悪の連鎖が生まれる。「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」。多様な価値観をもつ人々がお互いに共存できる社会に向けて、いまわたしたちにできることはなにか。気鋭のドキュメンタリー作家による、21世紀への希望を込めたノンフィクション・エッセイ。
目次
1章 日本がオウムで失ったこと、世界が9・11で忘れたこと(ポスト9・11のアメリカで『A2』を上映する;オウムですべてのタガが外れた日本社会;その後のオウム信者撮影日誌 ほか)
2章 ドキュメンタリーの理由(小人プロレスラーたちの「それから」;忘れられない少女の表情;ゆったりと静かに揺れ続ける眼 ほか)
3章 かくも完璧な世界(戦後日本よ、おまえは間違っていなかったはずだ;「世論」という圧倒的なチャンピオン;ただこの事実を直視しよう ほか)
著者等紹介
森達也[モリタツヤ]
テレビディレクターとして、ドキュメンタリー作品を数多く演出。98年、自主制作ドキュメンタリー映画『A』を公開、海外でも高い評価を受ける。続編の『A2』で、山形ドキュメンタリー映画祭市民賞・特別賞を受賞
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