内容説明
「気候科学」は、いまもっとも新しい科学だ。気象学、地球化学、海洋学、生物学、地質学の英知をあつめ、近未来の地球環境モデルを提示する。地球誕生以来、47億年。ドラマチックに変動をつづける気候の歴史をたどり、スーパーコンピュータを駆使する最先端の研究現場をレポート。酸性雨、砂漠化、温暖化など、人類の社会生活が起こした気候現象を、科学的に検証する。これから地球に何がおきるのか―人類の未来を考えるために欠かせない一冊。
目次
1 氷に覆われて(気候の科学の誕生;地球史の解読;氷の到来;人類と気候;エルニーニョと異常気象;暴風)
2 計算機のなかの地球(戦争と天気予報;計算機の日;気候モデル)
3 気候が変わるとき(酸性の雨;ひろがる砂漠;暖かい未来の大地;核の冬)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
茶幸才斎
5
天気の定点観測では、より長期的性質である気候を説明できない。海洋と大気の熱交換や熱移動、生物叢との相互作用など、地球規模の観測データを理論化して初めて気候を説明できる。大気・海洋の動きや熱循環をモデル化する数学的手法、それを演算するコンピューター、また気象衛星の発達が、気候科学を高度化した。それらの技術は、温暖化や砂漠化、酸性雨やオゾンホールが、人の社会活動に起因することを示唆する。人は踏みしめる大地の固さの故に、地球環境システムを不変不動と勘違いしがちだが、実際の地球は、変化しやすく繊細な風船玉である。2019/10/03