感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
misui
5
イギリス・ルネサンスにおいて、ジョン・ディーやロバート・フラッドを通じてネオプラトニズムの伝統が、ことにそのウィトルウィウスの復興が劇場建築に実現されていたという。論の妥当性は厳しいように思うが読み物としては大変面白く、魔術的ルネサンス思想を念頭にシェイクスピアを読み直すなどというのはたしかに魅力的。2020/01/03
roughfractus02
5
新プラトン主義の流出概念を近代の先駆たるブルーノに見、中世の寓意からルネサンスの記号へ変容する記憶術を辿る著者は、本書で、その大元のプラトン的比例=理性(ratio)が劇場の形を借りて実体化する16世紀ロンドンに注目する。ユークリッド『原論』の英訳序を書く中で宇宙と記憶の比例関係を説いたウィトルーウィウスに言及するJ・ディー、マクロとミクロの宇宙の比例関係を『両宇宙誌』に書くR・フラッド、この宇宙観を劇場空間に実現するI・ジョーンズの紹介は、シェイクスピア地球座に至る魔術的かつ幾何学的宇宙観を前景化する。2019/04/14
白義
2
シェイクスピアもそこで劇作を試み、上演した第一地球座が火災で焼失したことを受け、ベン・ジョンソンは「見よ、世界のこの廃墟を」と詠ったという。まさに、地球座とは当時のオカルト哲学的コスモロジーをそこに再現した、まさに世界そのものであった、というのが本書の趣旨。記憶術の後を受け、英国史でもキワモノ扱いだったジョン・ディー、ロバート・フラッド、イニゴー・ジョーンズの活動に光を当て、その隠秘学的側面と合理的側面がいかに結び付いていて、世界そのものとしての劇場を生むに至ったかが語られる2013/03/20
feidelshia
0
難解だった。ふだん読みなれない文法はもとより、どうやら「記憶術」から読まないと内容がわからないような表現が見られた。これからイエイツの本を読まれる方は、まず記憶術を読まれたし。2009/11/24