内容説明
肺の病を得て海辺の村に保養にやって来た学生アランは、滞在先の医師の妻イヴリンと親しくなり、ついに関係を結んでしまう。自信家の医師に反感をつのらせながら、秘密の関係に深入りしていくアランだが、その先には思わぬ事件が待ち受けていた…。優柔不断な青年の揺れ動く心理と、不可解な女の性を辛辣なユーモアをまじえて描いた本書は、人間の「性格」の謎を追究し、探偵小説の枠組みから一歩踏み出したアイルズ=バークリーの到達点ともいうべき傑作である。
著者等紹介
アイルズ,フランシス[アイルズ,フランシス][Iles,Francis]
1893‐1971年。イギリスの作家。本名アントニイ・バークリー・コックス。ユーモア作家として出発した後、アントニイ・バークリー名義で『毒入りチョコレート事件』『第二の銃声』など技巧を凝らした本格ミステリ、アイルズ名義では『殺意』をはじめとする犯罪心理小説を発表、大戦間の黄金時代探偵小説の頂点を極めるとともに、以後のミステリの流れにも大きな影響を与えた
白須清美[シラスキヨミ]
早稲田大学第一文学部卒業。翻訳家
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