シリーズ愛書・探書・蔵書
小さな本の数奇な運命

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 90p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784794926616
  • NDC分類 973
  • Cコード C0397

内容説明

一冊の本が、古書店の片隅で買い手が現れるのを待っている。ヴァカンスまでに売れなければ廃棄処分、と宣告されて。ちょっと身につまされる本の独白。60年前、新刊書店に並んだときの晴れがましさ。初めて女性の手でページをめくられたとき。本棚の隣人たち。売れる本への嫉妬。リサイクルされて段ボールになる恐怖―。“ぼく”=本は生きていて、浮き沈みもあれば、感情もある。伝えたいこともいっぱいある。テレビ、コンピュータ、携帯電話が登場したショックも生きのびたんだ。まだまだやれるよ。

著者等紹介

ケルバーケル,アンドレーア[ケルバーケル,アンドレーア][Kerbaker,Andrea]
1960年、ミラーノ生まれ。曾祖父は著名なサンスクリットの言語学者。デビュー作『フォトグラム』(1997)がバグッダ新人賞受賞。妻と三人の息子と、ミラーノに住む。現在はテレコム・イタリアの“広告と映像”担当重役

望月紀子[モチズキノリコ]
1941年青森生まれ。東京外国語大学卒業
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

362
語り手は1冊の本。彼は今、古書店に並べられ、買い手を待っている。これまでに彼の所有者となったのは3人。彼は4人目が現れるのをひたすらに待っている。この本は誰なのか。当然そうした興味が生れてくるのだが、イタリアの現代文学に疎いので(すぐに名前が出てくるのは、モラヴィアかタブッキかパヴェーゼくらい)、これではとてもかなわない。そもそも、作中に登場するイタリア語の小説のほとんどを知らないのだから。知っている本については、擬人化されたそれらを親しみを持って眺められるのだが。教養度テストのようでもある。何か面白い。2023/02/19

KAZOO

166
珍しい本です。お気に入りさんの感想を見て読んでみたくなり手に取りました。まさしく本が主人公でしかも売れ残りになると廃棄処分にされてしまうことを身にもって感じていることがよく表れています。本が経験した様々なことを他の本を紹介しながら書いているのでその本も読みたくなるものがあります。この本を読むとやはり本は積読だけではなく読まないとという気がします。わたしも反省しています。2016/10/30

けんとまん1007

62
なるほど、本からみたら、こんな風に見えたり、感じたりしているんだ・・と。確かに、本は(本も)読まれることが、一番。読まれないままで終わるのは、本意ではないよなあ。あと、どんな人に、どれくらい読まれるのだろうかもあるよね。ふと思った。これは、本に限らないことでもあるなと。2019/02/03

アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯

60
主人公は昔、若者たちに愛され、今は時代遅れになってしまった一冊の本。初めての持ち主は2週間も彼を持ち歩き夢中で読んだ青年。青年が戦地から帰り結婚した妻が、彼にとっての初めての女性。気まぐれな読み方に翻弄される。イタリア語では、本は男性名詞。だからなのか、この主人公(本)は「ぼく」なのだ。男性だからか女性に読まれたいらしい。古本屋の片隅で買われ助け出されることを望みながら近づいてくる女性に呼びかける。擬人化された本がそれぞれ相性があり隣の本や一緒に読まれている本、一緒の棚の本に複雑な感情を持つようだ。続く2016/02/16

mizuki

57
《本は生きていて感情があり、伝えたいこともいっぱいある》これは小さな一冊の本が古書店の片隅で買い手を待っている間の独白。昔の持ち主やその家族、本棚やナイトテーブルで知り合った本との思い出。本が買い手を待つドギマギした気持ちや、人を観察する様子、本棚で隣り合った本への尊敬や嫉妬など楽しく読了。私の本棚の本もこんな風に会話しているのかな〜と、想像するのがまた楽しい!そして積ん読している本にはさぞ悲しい思いをさせていることでしょう。本への愛が深まる一冊でした♡2016/03/05

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/677
  • ご注意事項