土星とメランコリー―自然哲学、宗教、芸術の歴史における研究

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土星とメランコリー―自然哲学、宗教、芸術の歴史における研究

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  • サイズ A5判/ページ数 605,/高さ 24X17cm
  • 商品コード 9784794923868
  • NDC分類 141.94
  • Cコード C1370

内容説明

メランコリー。人間の体内に存在する四つの体液の一つである黒胆汁によってもたらされ、土星の下に生まれたものの運命であるとされる。そして、それは人間を憂鬱におとしいれ、その意識を鈍磨させるとされた。古代ギリシアに淵源するこの体系は、西欧の自然哲学、医学・宗教、芸術の根幹に脈々と流れ、それらに大きな影響を及ぼし続けた。ピタゴラス学派、アリストテレスから、中世アラビアの占星術師、ルネサンスのネオプラトニストを経て、北方ルネサンスの巨匠デューラーに至るまで、この体系の起源と展開を精細にあとづけ、近代思想によって駆逐されたかに見える、破壊的なまでに洞察力にみちた人間観を発掘、まさにヴァーブルク学派の代表的成果というにふさわしい大著。

目次

第1部 メランコリーの概念と歴史的発展(古代生理学におけるメランコリー;中世の医学、科学、哲学におけるメランコリー)
第2部 土星・メランコリーの星(文学的伝統における土星‐サトゥルヌス;図像的伝統における土星‐サトゥルヌス)
第3部 「詩的メランコリー」と「高邁なるメランコリア」(中世以後の詩歌における「詩的メランコリー」;「高邁なるメランコリア」)
第4部 デューラー(コンラート・ツェルテスにおけるメランコリー;銅版画『メレンコリア1』;『メレンコリア1』の芸術的な遺産)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

roughfractus02

8
古代宇宙の四大元素に対応する人の四体液論では血液は快活、粘液は鈍重、黄胆汁は癇癪、黒胆汁は憂鬱(黒melan胆汁choly)を作る。憂鬱の黒(鉛)は神話ではゼウス/ユピテルに追放される父、つまりかつての太陽(ヘリオス)=黒い太陽(クロノス)に結びつく。ローマ期この黒い星は天地の一方の大地(サトゥルヌス)を示すようになる。土星の観念史である本書は医学、占星術、神話によって意味付与されたこの観念が、宇宙の階層構造である自由7学科に組み込まれ、地に居ながら天を思う知性として擬人化するまでの象徴化過程を検討する。2019/03/24

ぼてちん

3
古代より不幸な宿命を背負わされた土星の生まれを、中世、ルネサンスを経て、異教とキリスト教の融合を通して天才、高邁な女神のイメージに変えていく歴史が面白い。何かの束縛から逃れて自由に生きようとする人間の姿が見られる。2012/04/19

宵子

0
ひたすら重たい本。土星のイメージが何故暗かったのかなどを、古代~ルネサンス辺りまで哲学的に見ると~文学的だと~が書かれている。 よく考ええたなぁ、と思った。2013/09/16

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