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出版社内容情報
現代フランスで最も重要な哲学者が語る「私の哲学の起源」!
「哲学者になったのは使命(天職)だったのか」と問われたスティグレールは、もし哲学することが使命であるなら、それは全ての人間が潜在的に与っている共通の使命なのだと答える。つまり人間はみな、可能態として哲学者であるが、しかし現実に哲学者となるためには、潜在的な使命を現勢化する移行のプロセスが必要だというのである。スティグレール自身の「哲学への移行」は、ある特異な体験をきっかけとして発動した。それは彼がかつてある犯罪を犯し、20代後半から30代にかけての5年間を刑務所で過ごしたということである。彼はその5年間を、みずからのうちに潜むはずの哲学の可能性を現勢化させ、それを現実態に保つ訓練に費やしたのである。だがそれは哲学を、獄中での癒しとか、いわゆる更正の足掛かりにしたという意味ではない。そうではなく、生きるために、知性というものを駆動させ、徹底化させるにはどのような道筋を辿らなければならないのかということを、自身がまさにそのプロセスに身を投じることで、実験的に検証したのである。本書で語られる物語(自伝)が、非常に特異なものでありながら、もし読者のうちで、読者が置かれた個々の状況に応じて、切実なリアリティを伴って響くとしたら、それは各々が有しているはずの哲学への使命(公共性への欲望)に呼応したということなのかもしれない。
内容説明
ある犯罪の決行、服役・独房生活、そして哲学の現勢化の開始。「われわれ」への欲望。公共空間の可能性。哲学に向かう使命。
目次
内奥の秘密
哲学と天職
現実態で哲学すること
個体化のプロセスにおける「私」と「われわれ」
個体化における無‐知と、哲学の現勢化の始まり
起源の問いと知の欲望
法を侵すこととしての「行為への移行」
想起
真実を語る必要性
偶然から哲学をする〔ほか〕
著者等紹介
スティグレール,ベルナール[スティグレール,ベルナール][Stiegler,Bernard]
1952年生まれ。デリダの指導で哲学博士号を取得したのち、大学講師を経て、INA(国立視聴覚研究所)副所長、IRCAM(音響・音楽研究所)所長などの要職を歴任。またフランス国立図書館のアーカイヴ化に携わるなど、フランスのメディア政策を主導し、現在はポンピドゥー・センターの文化開発ディレクターを務める。さらに文化産業が支配する現代社会を問題化する国際的運動組織Ars Industrialisを立ち上げ、精力的に活動している
メランベルジェ,ガブリエル[メランベルジェ,ガブリエル][Mehrenberger,Gabriel]
上智大学教授。専門はフランス現代思想、フランス語文体論
メランベルジェ眞紀[メランベルジェマキ]
上智大学講師。上智大学外国語学部フランス語学科卒業、東京都立大学大学院博士課程満期退学、パリ第一大学DEA取得(哲学史)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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