出版社内容情報
「一頭の馬に二人乗るより、二頭の馬に別々に乗るほうがより自由で確実に進める」――一〇〇組の夫婦がいれば一〇〇通りの夫婦がある。私たちのような規格外の夫婦がいてもいいのではないだろうか。私たち夫婦は一〇年かけて、デンマーク～フランスのヨーロッパ徒歩縦断を敢行した。歩きはじめたのは、一九九三年。私は四九歳、パートナーの敬子さんは四二歳のときで、まだまだ「ウォーキング」という言葉が今ほど市民権を得ていないころで、海外旅行といえばイコール非日常的な日々を送ることであった（つまりリッチに）。そんな当時に、大きなリュックを背負って、キャンプやユースホステルを利用してヨーロッパ歩きの旅をする私たちはきっと「変わり者」という単語でくくられていたのだろう。しかし、ひとたびヨーロッパへ出向いて歩きだせば、私たちはごく普通のカップルだった。重いザックを背負って、悪天候の日も、険しい山道も、自分の足で歩き通した体験によって、どんな険しい道のりでも「恐れず、逃げず、退かない」という精神が体内に染み込んだようにも思う。
働き盛りの年代を高度経済成長期に通過した人たちが、これからどんどんと高齢者になっていく。年金の問題、介護の問題など、今後予想される社会環境は決してバラ色とはいえない。そんななかでより有意義な人生を送りつづけるための一つの方法として「歩く旅」と取り入れてみてはいかがだろうか。高齢者に限ったことではない。これから人生を歩んでいくのに、今までのようなコストとエネルギーの浪費をするような方法ではすぐにエンストを起こしてしまう。これからは、もっと地に足をつけて、自分のことは自分で行う「セルフ・ライフ」を心がけなければならない。夫婦である以上、目標は同じだが、互いを束縛しないで、それぞれが自立して自分の道を確実に進んでいく。そんな生活感を「歩く旅」から感じ取っていただければ幸いである。（やまうら・まさあき）
内容説明
規格外れの夫婦がこだわったのは「歩き」と「スケッチ」デンマークの最北端から地中海までの歩く旅。“セルフライフ”のすすめ。
目次
デンマーク編―どこまでも拡がる牧草地、その土地の自然や暮らしを見ながらのんびりと歩く
ドイツ編パート１―歩く道も宿もきめ細かくネットワークされ、安心して歩ける国
ドイツ編パート２―小高い丘が点在する歩きやすい道を行く
ドイツ編パート３―ライン川をめざし、ドイツ中北部の田園と森をぬけてコブレンツへ
ドイツ編パート４―ぶどう畑のモーゼル川から、二つの高原の森をぬける
ドイツ編パート５―シュヴァルツヴァルド（黒い森）を縦断、そしてボーデン湖へ
スイス編パート１―いくつもの湖をつないで峠を越えて歩く
スイス編パート２―ブリエンツ湖からレマン湖へ谷沿いの道から峠を越えて
フランス編パート１―キャンプをしながら、フランスアルプスの山麓を行く
フランス編パート２―やっとたどり着いた地中海のゴール
著者等紹介
山浦正昭［ヤマウラマサアキ］
１９４３年、東京都葛飾区の生まれ。（財）日本ユースホステル協会で青少年の旅の指導に従事した後、フリーの活動家となる。１９７７年より本格的に徒歩旅行の指導を始める。現在は、カントリーウォーカーとして、カントリーウォークの普及、指導にあたるほか、オンフットワークの代表として日本の歩く旅事情の向上を目指して活動を続けている。（財）日本ユースホステル協会研究員（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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