出版社内容情報
【国際赤十字】負傷兵の介護、戦時捕虜の訪問。人道の原点を貫く、赤十字国際委員会の成り立ちと変遷、現在抱えている問題を派遣員の生の報告や興味深い哲学を交え解説。
救急箱、救急車を例に挙げるまでもなく、人命を救う象徴、それが「赤十字」だ。「ひょっとしたらコカ・コーラよりもよく知られているかもしれない」。編者はそう語る。しかし、こんにち億単位の予算を抱えながら世界中で人道的活動を行っている「赤十字委員会」について、私たちはあまりに何も知らなさすぎる。 本書は、赤十字委員会の起源や歴史、これまでの実際の活動や危機に関する情報をつぶさに紹介する、他に類を見ない「赤十字史」である。今もアフガニスタンで、イラクで、パレスチナで、そして世界中の幾多の地域で、文化や宗教を異にするがための、あるいはごく一握りの権力者が得をするための戦争・紛争が果てしなく続き、無惨に人々が殺されている。本書は、そんな愚劣な争いに体を張って立ち向かい、砲弾の嵐の中を駆け抜け、人のいのちを救うためにのみ、丸腰で戦火に立ち向かっていった人々の歴史であり、平和に向けて人類がなしうる最良の実践の記録である。
内容説明
世界で最も古いトレードマーク「赤十字」。その成り立ちと活動の内容について、私達はあまりにも知らなさすぎる。
目次
1 ソルフェリーノの思い出
2 アンリ・デュナンとソルフェリーノの戦い―そして赤十字の始まり
3 ルイ・ヘフリガー、人間性を示す一つのケース
4 十字を背負った赤十字―赤十字国際委員会、連盟、そして各国赤十字社・赤新月社
5 バンダルアンザリ‐トリポリ‐モガディシュ―ある派遣員の回想録
6 派遣代表員なる気質―ペーター=ゴットフリート・シュトッカーと思索する
著者等紹介
エンツェンスベルガー,ハンス・マグヌス[エンツェンスベルガー,ハンスマグヌス][Enzensberger,Hans Magnus]
1929年、ドイツのアルゴイ生まれ。叙情詩人、エッセイスト、放送劇作家、翻訳家、そしてドイツで最も名声の高い文学賞「ゲオルク・ビュヒナー賞」の責任者。詩学と政治学が混合した作風を特徴とし、批判的な叙情詩で有名
小山千早[コヤマチハヤ]
1963年、三重県志摩郡生まれ。日本大学短期大学部国文科卒業。1989年、結婚を機に渡瑞。1994年にゲーテ・インスティトゥートの小ディプロム(Kleines Sprachdiplom)を取得し、翻訳活動を始める。文芸作品のほか、環境・人権・社会問題をテーマとした書物の翻訳を中心に、ドイツ語圏と日本の間の交流に貢献できればと願う。現在、スイスドイツ語の手話を勉強中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。