出版社内容情報
【日本人とユダヤ人,民族の地政学と精神分析】維新から敗戦までの対外関係史を,西ヨーロッパ文明圏との対比を軸に壮大な文明史的水位で読み解く,湯浅史学の歴史認識。
日本近代史の最大かつ中心のテ-マは、もちろん第二次世界大戦である。しかし、驚くべきことは、この戦争の総括がまだまともになされてはいないことである。 これに気付いている歴史家はかなりおられると思うけれども、日本近代史にはタブ-が多すぎる。しかも、いわゆる実証史学では全体のダイナミックスをつかみ難いので、放置されているのだろう。一国史はその国のダイナミックスを明らかにするものである。それ故にこそ、国の運命に関心を持つ人はその歴史を学ぶのである。にもかかわらず、与えられるものが過去の事件の単なる事実関係とそれに対する国際的な評価だけだったら、その事件がきわめて深刻な意味を持つだけに、失望せざるをえないだろう。 本書では、日本を理解するには前近代におけるこの国の東アジアにおける地政学的位置と近代においてこの国が米国の最後のフロンティアに位置していることの意味をつかまなければならないと主張している。
内容説明
戦後の日本人の歴史認識を問う。維新から敗戦までの対外関係史を西ヨーロッパ文明圏との対比を軸に、壮大な文明史水位で一挙に読み解く。「歴史学的想像力」復権の第三弾。
目次
序章 総括は民族を成熟させる
1章 東アジア世界体制の解体(朝貢冊封体制の破壊;東アジア文明の中の日本;近代国際社会と当面させられる日本)
2章 日米の宿命の関係(同盟国から仮想敵国へ;幻想のアジア;米中同盟=日本の破滅 ほか)
3章 ユダヤ人の歴史から学ぶもの(結局ユダヤ人も国家を再建した;ユダヤ人を鍛練したもの;ユダヤ人の近代化への苦闘 ほか)
4章 人類社会の中の日本(地政学から精神分析へ;日本人の精神の発展段階)