一つ半の生命

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  • サイズ B6判/ページ数 244p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784794801180
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

出版社内容情報

時は不明,所は架空の新興国カタマラジー。人喰い,虐殺,ゾンビあり。世界を滅亡=誕生させる蝿兵器の登場!神話・黙示録・近未来SFの現代アフリカ文学の衝撃作!

内容説明

本書は、「絶望の不条理」を実践したるハチャメチャ小説にして、エロあり、グロあり、ゾンビあり、少々の辻褄の合わぬは何のその、世にも快奇なる人物が入り乱れ、近代小説の約束ごとをすべて打ち壊しては、ところせましと動き回る。舞台はカタマラナジーなるアフリカの新興国。あらんかぎりの暴虐をつくす独裁者とがっぷりと4つに組むは、殺されても殺されても甦って歯向かう政敵。そこに、絶世の美女が絡み、あらゆる魑魅魍魎が跋扈して、この世を破滅に導きまする。さてさて、いかにしてこの世が終わり、その後に何が残るかは、最後まで読んでのお楽しみ。さあさ、はじまり、はじまり。神話、黙示録、近未来SF小説などなど、あらゆる小説ジャンルをごたまぜにしたる世にも珍奇なる書のはじまり、はじまり。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

24
アフリカの架空の国を舞台にした、次々と変わる独裁者とマルシアル一族の戦いの歴史(多分)は、とにかく人が死にます。機関銃や毒薬はもちろん、ハエ兵器で都市が壊滅するに至っては悪い冗談のようです。こんな凄惨な状況も、どこか遠い時代の出来事のように冗談のような展開を楽しみながら読んでいけるのですが、これは登場人物たちに個性がなく記号のようだということと関係があるのかもしれないと思いました。それでもマルシアルの「地獄だ、地獄だ」や、ジャン・カルシウムの「グラニタ、グラニタ」という絶望の声はひどく印象に残るのですが。2016/05/21

三柴ゆよし

16
ひさしぶりに心底困った小説を読んでしまった。虐殺、圧制、カニバリズム、不死身のおっさん、革命、幽霊との近親相姦、ピグミー族、ハニー・トラップ、祖国分裂、きわめつけは大量殺戮の切り札「蝿兵器」。なんかもう混沌渦巻き過ぎてわけわからん。物語は常に蛇行運転、たまにUターン、気付くと地図にない道を爆走。おまけに油断してると登場人物がいつのまにかに死んでる。あるいは生き返ってる。この不条理性は神話に近い。やっぱアフリカすげえ。2009/09/27

ふくろう

7
言葉の硫酸、劇薬指定ものの小説。架空の国カタマラナジーで起こる、ぶっ飛んだ独裁とアフリカン・マジックの場外乱闘デスマッチ。幽霊が跋扈する世界なのに、人の死に方が異常にリアルなので、グロテスク・マジック・リアリズムとでもいうべき混沌とした世界を生み出している。ようこそ、この世の地獄へ。帰り道はありません。2010/06/05

龍國竣/リュウゴク

4
この作品は、死と生、それに伴う性に満ちている。暗殺や戦争による殺戮が繰り返され、一方では五十人もの子供が一度に生まれることもある。それでいて、それらが希薄なのだ。「人びとはあちらでは死ぬのと同じようにして生きているのです」(p.222)。2013/12/19

myung

4
なるほど、マルシアルの思いは、死んでもなお強く、死してなお(それでも料理を作ったり、娘に張り手を食らわせたりしている)あらゆる人の中に入り込んでいるんだな。ある意味『族長の秋』のような、作られた神話的時間が……と思っているうちに、国家がぶっ飛んだ。まさに書き出しの通り、時代なんかくたばっちまった。具体的数字にほとんど意味なんてない。どれも膨大な数ってことがわかるだけだから。そうなると、人の死までもが非常に滑稽に思われてくる。ああ、彼らのやっていることは、実に滑稽だなあ! 馬鹿らしいと思えてくる。2013/04/15

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