内容説明
敗戦直後、焼け跡の東京に君臨し、「東京租界の帝王」と呼ばれた異形の中国人がいた。東京の一等地をまたたくまに手中に収め、新橋の国際マーケットを皮切りに、各地に次々と闇市を開き、銀座に巨大キャバレー「マンダリン・クラブ」を築くなど怒濤の勢いで成り上がっていく。多くの日本人に恐れられた彼の名は、しかし日本社会の裏面に封印された。戦後を駆け抜けたある異邦人の波乱の生涯を描く傑作ノンフィクション。
目次
第1章 銀座の空に札びらが舞う(十円札の紙吹雪;総理大臣宛ての内容証明郵便 ほか)
第2章 廃墟に現われた男(「私が話したら、殺されちゃうよ」;湖南省から日本統治下の朝鮮へ ほか)
第3章 東京租界と帝王の城(口をつぐむ生き証人;新橋駅前「国際マーケット」 ほか)
第4章 宴の残影(道玄坂を下る米軍戦車;家なき人びとの群れ ほか)
第5章 封印された「戦後」(日本の裁判権回復;弁護士・布施辰治との絆 ほか)
著者等紹介
七尾和晃[ナナオカズアキ]
石川県金沢市出身。ルポライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hatagi59
0
話に引き込まれなかったな。時代も舞台も大好物なはずなんだけどな。著者との相性が悪かったのか、本ドキュメンタリーの主人公の生き様に惹かれなかったのか。まぁ、こんな時もあるよね。2013/10/23
toshokan-no-hito
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いろいろ謎が多くて隔靴掻痒の感もあるけれど、他にあまり類書のない本で面白かった。2013/05/25
tomtake
0
第二次世界大戦直後の日本のルポ。戦勝国民としての特権を活かして暗躍する王長徳。作者が実際に会った時は、晩年やや丸くなっている感じだが、作中の土地取引における恫喝やゼネコンに対する因縁のシーンから、当時は相当凄みがあったのだろうと思う。ところで、この本は古本屋で見つけたのだが、Amazonでも新刊では買えないようだ。なんか得した気分。2023/07/13