内容説明
植物状態と診断されていた私には意識があったのです。脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、交通事故での脳傷害…。その知られざる実態を描き、新たな治療の道を探る。
目次
第1部 知られざる現実(閉じ込められた意識―閉じ込め症候群;「植物状態」と宣告されて―遷延性意識障害;新たな脳被害の時代―交通事故と高度救命救急医療;外からは見えない障害―高次脳機能障害)
第2部 脳障害を乗り越えて(脳治療の最前線―先端医学の現在と未来;脳ドックの落とし穴―予防医学がもたらす悲劇;「奇跡の復活」を支えた男―理学療法の可能性;心に「私」を呼び覚ませ!―音楽運動療法の挑戦)
著者等紹介
中村尚樹[ナカムラヒサキ]
1960年、鳥取市生まれ。九州大学法学部卒業。NHK記者として原爆被爆者や医療問題などを取材し、岡山放送局デスクを最後に独立。現在はフリージャーナリスト。法政大学「平和学」、大妻女子短大「世界の中の日本」「多文化コミュニケーション」各非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぽんぽこ
5
脳障害(主に高次脳機能障害)を後天的に患ってしまった人たちがいかに生きているかを通して、人間が人間扱いされる基準とは何かを突き詰めて考えていく、とても貴重は本でした。喋られなくて表情が表せなくても、彼らの意識は普通の人間としてしっかりしている。なのに周りの人々(看護師でさえも!)は彼らを人間だと思ってはくれない。この本はとても古いものですが、今でも通じる普遍的な問題を内包していると思います。2023/11/06
メルセ・ひすい
0
8-08 赤49 日本人の死因順位は①癌 ②心臓疾患 ③脳卒中だが患者の発生自体は癌より約10万人、平均入院は断然トップだ。退院後も意識障害や言語障害、身体麻痺などを抱えて生きることになる。その事例を挙げ、実態を丁寧に描き、先端の脳治療の課題にも触れ、CT.MRI.PET等の高度な画像診断の開発が予防医学に貢献する一方で、脳ドックや予防手術にはリスクも大きいと警告する。 2006/12/15