出版社内容情報
宮崎勤、麻原彰晃、酒鬼薔薇聖斗、宅間守……了解不能な事件が起こるたび登場する「人格障害」という言葉をめぐる斬新なルポ。人間存在の不可解さ危うさが見えてくる。
内容説明
その言葉は90年代の初め、宮崎勤を説明するためにメディアに華々しく登場した。そして麻原彰晃、酒鬼薔薇聖斗、宅間守と、了解不能の事件が起きるたびに多様な文脈で使用されてきた。反社会性人格障害、自己愛性人格障害、妄想性人格障害…。だがこんなラベルが貼られて片づけられても、事件そのものの異形は依然として立ち尽くしたままだ。「人格障害」という言葉に人は何を背負わせたがっているのか。人間理解への手がかりか、封印し排除するための装置か。社会や時代のひずみを映し出す陰画のようなこの言葉の使用をめぐる、異色のノンフィクション作品。
目次
精神が精神を鑑定するということ―宮崎勤をめぐって
人格障害を発見する―麻原彰晃をめぐって(1)
麻原は元気かい?―麻原彰晃をめぐって(2)
人格障害という言葉の誕生―神戸の少年Aをめぐって(1)
グレーゾーンを抱えて―神戸の少年Aをめぐって(2)
宗教の創造―神戸の少年Aをめぐって(3)
DSMへの批判―長崎の少年Aをめぐって(1)
片づけられてしまうこと―長崎の少年Aをめぐって(2)
アスペルガー症候群―長崎の少年Aをめぐって(3)
それは遺伝のせいです
見えない封印―豊川の少年Aをめぐって
人格障害の地図を描く
十三ページの反省文―宅間守をめぐって(1)
みんな暴力が好き―宅間守をめぐって(2)
この人格障害的組織を見よ
治療現場での人格障害
私の中の人格障害―佐世保の少女Aをめぐって