出版社内容情報
阪妻や長谷川一夫の映画でメガホンを取り今年百歳を迎えた映画監督が語る、波瀾に富んだエピソード満載の痛快回顧録。長谷川一夫顔斬り事件の真相、勝新太郎との裁判闘争記など。
内容説明
1901年生まれで今年(2001年)100歳になる著者が、映画とともに歩んだ自らの人生と発明されて100年ちょっとの映画の歴史を重ね合わせつつ描いた回想録。
目次
物を言う活動写真顛末
モノクロからトーキーへ
亡き朋友たちを想う
自分史簡抜戯曲から映画へ
下加茂撮影所のペンペン草
阪東妻三郎との四十五分
高松家と私
『狂った一頁』の虚妄
林長二郎の誕生と下加茂蘇生
妻三郎の誘い〔ほか〕
著者等紹介
犬塚稔[イヌズカミノル]
1901年(明治34)、東京浅草に生まれる。父は新派の作者大須賀豊。五歳のとき父と死別し、親戚を頼って台湾の台北市に移る。台北中学卒業後、台湾銀行に勤めるも、戯曲家の道を志し、上京の折りに立ち寄った京都で松竹の白井信太郎氏に知遇を得て、松竹下加茂撮影所に脚本家として入所。数本の脚本を書いたあと、林長二郎(長谷川一夫)のデビュー作『稚児の剣法』で監督デビューを果たす。監督作品50余本、脚本は戦前戦後を通じて130余本を数える。松竹、日活、戦後は大映などで活躍。戦後の代表作に『座頭市物語』の脚本があり、同シリーズの生みの親でもある。現在、滋賀県安曇川在住
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感想・レビュー
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c
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「座頭市」の事実上の原作者の回想録…と言うには、あまりにルサンチマンの発露に頁を割きすぎている。この老翁の手にかかると、衣笠貞之助や子母澤寛といった最早歴史上の人物すら、金や女への執着を忌憚なく描写される。ゲスい。老骨ゆえの狷介もあるにしろ、刊行当時、著者は齢百を数えようとしていたのだ。全てが懐かしく美しい思い出に変わっていても良さそうなものなのに。映画人特有の陶酔的な個人史を期待するとしっぺ返しを喰らうが、ただゲテモノ本としてはかなりの上等品である。「監督は凡庸にもやれるが、脚本は凡庸には書けない」。2011/02/20
jinkan_mizuho
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著者は、1901年生まれの脚本家。戦前には監督も。50余本あるとのことだが、ほとんど残存せず。誠に惜しいことだ。一言居士の趣が、少々過多の印象。だが、阪妻や長谷川一夫はじめ、映画関係者の裏話も含めて、興味深い話が満載。日本の初期映画史を知る一助。2012/03/15
tkm66
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<『座頭市』は半分くらい俺の手柄だ!勝新ばかり褒めるな!>的な言いっぷりが面白い。映画史的な証言も含めて貴重。2011/01/05