出版社内容情報
隠れてする、楽しむ
ヒトの性だけが、なぜ奇妙なのか？
内容説明
どの動物も、性のあり方がその社会のあり方を決定づけている。ゴリラはハーレムを作り、水鳥の多くは夫婦で子育てをする。ではヒトは―？ヒトは隠れてセックスをし、セックスそのものを楽しむ。ヒトの性は動物と比べればあまりにも奇妙に見える。この奇妙な性のあり方が、人間らしい社会を形作ってきたのではないだろうか。ヒトの性はどのように進化してきたのか、第一人者が挑むセックスの進化論。
目次
１ 人間の奇妙な性生活
２ 男と女のいさかい
３ なぜ男は授乳しないのか？
４ セックスはなぜ楽しいか？
５ 男はなんの役に立つか？
６ 少なく産めば、たくさん育つ
７ セックスアピールの真実
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
303
直接的、かつ刺激的なタイトル。原題の直訳である。翻訳者の長谷川寿一氏が原書の出版直後にアメリカの書店に発注したところ「当書は貴国では通関できない可能性があるのでお送りできません」との返信が来たそうだ。著者は今を時めくジャレド・ダイアモンド。つまり、実態はいたってアカデミックな本なのである。「セックスは楽しいか？」という問いには大多数の人が容易に答えることができるだろう。そして、その答えの大半は「楽しい！」だろう。では、それに「なぜ？」を付け加えるとハタと答えに窮するはずである。⇒ 2023/08/20
mitei
240
他の動物からみたら人間の性生活から子育てまで、変わってるんだろうなと改めて思った。霊長類でも人間の特殊さが際立ってる事は初めて知った。2016/08/14
松本直哉
28
気のきいた題名のつもりらしいが、セックスは楽しいものというのを当然の前提にしているのが気に食わない。アセクシャルはもちろんのこと、性虐待のトラウマのある人や性欲をこじらせた人にとって、楽しいわけがなかろう。生殖につながる異性間の行為だけが俎上にのせられるが、それはセックスのごく一部でしかない。所詮は白人エリートの男根中心主義ではないか。知りたかったのは、生殖につながらない諸々の行為や〈倒錯〉とされるものが人間だけのものなのか、という点だった。山極寿一氏によれば、ゴリラにも同性愛があるそうなのだが。2023/08/24
シルク
23
『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか』の、単行本。「タイトルを変えたことで、ぐっと手に取りやすくなりました」みたいな、文庫のあとがきで書いてあった。まあー……ねえ。この本を図書館で書庫から出してもらうのに、ソワソワしちゃったもの（笑）「ヒトのペニスのサイズはたんに機能的な必要性を超えており、その余分なサイズはシグナルとしての役割をはたしているようだ。勃起したペニスの長さはゴリラではわずか三センチ強で、オランウータンは四センチ弱であるのに対し、ヒトは一三センチに達する。（pp.228-9）そうでございますか。2018/04/09
姉勤
22
生物学、社会学、生理学、色々なアプローチで迫ってみたが、結局ようわからんって事です。余談のニューギニアの現地人への、ペニスサックをなぜ着けるかの質問に、着けないと裸の様で慎みが無いと感じる。と答えたという箇所が、人前で全裸になるのに全く躊躇しない某芸人さんが、披露した後でパンツを履く時は、羞恥を感じてコソコソと蔭で履くというエピソードを思い出して笑えた。2012/12/27
