内容説明
いまや世をあげてのインターネット大ブーム。猫も杓子もネットサーフィンできなきゃ時代に遅れると強迫観念まがいの狂乱ぶり。「ちょっと待ってほしい!」と異議をとなえるのがこの本。たしかにインターネットには素晴らしい面がある。だが、いま世間に喧伝されているのは、あまりにも誇張された物語ばかりだ。インターネットで仕事が変わり、社会が変わり、世界が変わる―でも、本当にそうなんだろうか?ネットワーク歴15年にもなる著者は、いまのブームに危険なものを感じている。このままでは、人と人との交流が薄まり、現実への関心がなくなって、社会の大切な部分が失われてしまう。インターネットは、理想の楽園という幻想で満たされた、からっぽの洞窟なのだ…。『カッコウはコンピュータに卵を産む』の著者がインターネット・ブームの危険な落とし穴を指摘。
目次
インターネットについての洞窟学的序説
ネットワーク神話と幻影のない町
コンピュータが人間を使うということ
標識なき迷路、恐るべきマニュアル
デジタル世界のはかない運命
色えんぴつとカラーモニタ
サイバービジネスと電脳監獄
ネットを飛びかうからっぽの会話
ハイテク教室の子供たち
かたつむりメール、電子メール、がらくたメール〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
24
#感想歌 #短歌 インタネットUnix迷路三次元からっぽ洞窟戻れないかも ネット飛ぶからっぽ会話うんざりだ相手に合わせるだけの輩ら2017/03/21
kubottar
10
15年前のインターネット論を今みるとさすがに、色々ニヤニヤしてしまった。2012/01/20
roughfractus02
6
インターネットの可能性を語る際、良い/悪いと判断するのは容易だが、どの程度良い/悪いのか決めるのは難しい。前世期末、本書を著した天文学者かつコンピュータ技術者である著者は、インターネットにどの程度関わるべきか、と問う。オンラインでの大量の情報の自由な入手、メールによる自由な意見交換が可能なこの時空ができたことで、逆に実際世界で生きる人々はデータを関連付け、情報に転化するまでの時間を膨大に浪費するようになった。どの程度この時空と付き合うべきか、という著者の問いはヒトがこの身体を持つ限り存続するように思える。2018/07/02
西澤 隆
3
IEもChromeもSafariもない「インターネット=ホームページ」前夜に書かれた「ネットばっかりやっててホントにいいのかい?」という問題提起は、回線容量とか歴史を重ねての資料の蓄積などの問題解決もあって外している予測もあるものの本質的な部分ではたぶん正しい。ネットでのやりとりよりは直接人とやりとりしたほうがずっと「!」だし未だにネットは匂いも触感も熱も伝えることはできないのだからネットでの体験は未だに「疑似体験」に過ぎない。ヘヴィーユーザーがあえて書く「頼りすぎるな」のメッセージは今なお普遍的なのです2016/05/06
司書見習い
2
インターネット黎明期に、インターネットによせられる過大な期待に警鐘を鳴らした本。結果として著者の予想の多くは外れたわけだが、それだけインターネットの普及は爆発的だったということか。 一応、デジタルデータの保存や、ネットコミュニティが冷静な議論に向いてないこと、デジタルディバイド、教育現場で用いる難しさなどは今でもある問題。2019/03/04