内容説明
米ソは衰退へ向かうのか?日本はこの先さらに興隆するのか?21世紀へのトレンドを読む。21世紀の見取図。
目次
第2部 産業革命の時代の戦略と経済(二極世界の到来と「中級大国」の危機(2)1919~1942年)
第3部 現在から未来への戦略と経済(二極世界の安定と変動1943~1980年;21世紀に向かって)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
isao_key
4
下巻は第一次世界大戦後の国際体制から始まり、第二次世界大戦、冷戦を経て21世紀の見通しへと続く。書かれた当時と比べ世界状況は大きく変化している。出版当時はソ連があり、東西ドイツに別れ、日本の経済成長は鈍ったとはいえ、まだ続いていた。日本についてはかなり肯定的な予測が目に付く。日本が他国に比べての利点として、1.通産省(当時)の方向付けがうまくいっていること。2.研究開発(R&D)に巨額な資金がかけられていること。3.貯蓄率が高いこと。4.国内企業が、国内市場で保障されていること。5.労働者の質が高いこと。2014/03/02
藤井宏
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一国の優位性は、防衛、消費、投資のバランスが維持できてはじめて、持続可能。領土を広げすぎたスペイン、英国はそのため本来の規模に戻った。未来を予測することは難しく、この本が書かれたのは、冷戦集結前であり、日本の経済発展もまだまだ続くと思われていた。もし日本にバブルが起こらず、緩やかに発展していたらどうだったのだろう(人口の高齢化の影響はやむを得ないとしても)。2017/03/20
在我壷中
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遂先日病院からの帰りBookoffの店頭に箱済みの中へ目に留めるのでした。初版1988年、四半世紀前の本である。読み進めながら「後付」の知識には大いに参考へと。戦後アメリカの占領から隷属国家へと歩んだ我が国を将に、しっかりと認識させてくれたのでしょう。『大国』富と権力、軍事力と経済力。戦後を今日までも、今尚隷属国家として歩を進めることしか無い日本。世界史の中の日本、日本史の中での我が国・・・1945年以降「経済大国」へと世界は目を見張りながらも近代化への最も目覚ましい実例と疑問の余地無く認識するのでしょう2014/09/10
sa10b52
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ソ連崩壊前で日本が経済的繁栄を謳歌していた頃の本。この本の本旨ではないが出版から30年以上を経て、答え合わせと思いながら読む最終章が楽しめた。予想は正解も不正解もあるが、こうしてみると冷戦も単なる過去ではなく、我々の今日は歴史の連続の延長線にあるとしみじみ思わせる。ソ連は解体されたが周辺国に依然影響を及ぼしたいロシアや、相対的な地位低下から"Make America Great Again"のトランプが生まれた背景も実感を持って理解できる。日本は低防衛費率なのにハイテク産業を育成できなかったのが反省か。2023/11/10
Tetsuya Noguchi
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下巻は1919年以降から、本が執筆された1987年頃までが対象。最後の第8章は、今後の国際政治の動きを占っている。 上巻・下巻を貫いているテーマは、大国のパワーの変化と経済力の関係である。時が経つにつれて、技術革新の動きが速くなり、戦争にかかる費用が増え、長期的な消耗戦を支える経済力がますます重要になってくる。 この法則を、冷戦構造のまま、直線で引っ張り将来を予測したのが第8章。現実を知っている後世の我々は、内容を批判するのは簡単だが、歴史を通じて国際政治をみる手法を学ぶいいケーススタディとも言える。 2019/04/22