内容説明
日本近代文学館名誉館長を務める文壇の長老・中村稔87歳の若々しい精神が、現代日本文学の扉を開き、中村の生まれた昭和2年に35歳で自死した芥川の魂の軌跡を、哀憐の情をこめて懇切に描き出す。
目次
初期作品考
王朝小説考
切支丹小説考
『侏儒の言葉』考
晩年の作品考
詩歌考
著者等紹介
中村稔[ナカムラミノル]
1927年、埼玉県大宮市生まれ。詩人・弁護士。一高・東大法学部卒、『世代』同人。1950年、書肆ユリイカから詩集『無言歌』を処女出版。詩集『鵜原抄』(高村光太郎賞)、『羽虫の飛ぶ風景』(読売文学賞)、『浮泛漂蕩』(藤村記念歴程賞)、伝記『束の間の幻影 銅版画家駒井哲郎の生涯』(読売文学賞)、自伝『私の昭和史』(朝日賞、毎日芸術賞、井上靖文化賞)ほか、著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ルアット
4
著者は芥川龍之介研究の専門家ではないということだが、芥川龍之介の小説や箴言に対する考察は、素人の自分にはなるほどと納得するところが多かった。しかし、詩歌については全く無知なので、詩歌に関する考察についてはちんぷんかんぷんであった。2014/10/12
でろり~ん
2
古い本なのかと思っていたら、2014年第一刷。ふうん、そですか。なんで今どき芥川、と、買っておきながら思ったのでした。最近、評論って元気ない感じだし、そもそも単行本とかの解説も無いのが多いですね。そんな中では久しぶりに評論らしい評論でした。でも、芥川の薫陶を受けた人たちとの交流があるらしいので、その人たちの生きた時代背景と芥川評をしっかり書いて欲しかったです。はア?という部分もありましたが、論ではなく考ということで、はい。書いたときに87歳ってことは、もう90過ぎていらっしゃるわけで、元気ですねえ。2018/01/05
じゃくお
2
作品のあらすじを紹介し、他の作家が書いた作品論の一部を抜粋して、それを否定して自分の意見を言うという構成が続く。 単調な構成に飽きるし、他の意見を否定して比較することでしか自分の意見を表現できないのには少し呆れる。 【『侏儒の言葉』考】の中では、論考ではなく自分の道徳観をさらけ出すことに終始している。2017/03/13