内容説明
あらゆるメディアにいつの間にかあふれ始めた「おネエことば」。そのヒミツと真実に言語学者が迫る!メディアに登場しはじめた創成期から、現在まで。どうして「おネエことば」は流行るのか、そもそも「おネエことば」とは何なのか。はじめての「おネエことば」研究の集大成。
目次
第1章 「おネエことば」の変遷―越境する「おネエことば」
第2章 「おネエキャラのことば」の誕生―主流メディアにおける表象
第3章 メイクオーバー・メディアを読み解く
第4章 テロップとして視覚化される「おネエキャラのことば」―書かれること/書かれないこと
第5章 文章化された「おネエキャラのことば」
第6章 「おネエことば」の行方―反復されることば
著者等紹介
マリィ,クレア[マリィ,クレア] [Maree,Claire]
2002年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(博士号取得)。東洋大学国際地域学部講師、津田塾大学准教授を経て、現在はメルボルン大学アジアインスティチュート(Asia Institute,University of Melbourne)。日本語とジェンダー及びセクシュアリティ研究(特に言語上のネゴシエーション研究)に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カモメ
6
「おネエ」がメディアで人気を集めるようになった要因として変容、改革、立て直し、改装などを個人の消費と努力によって促すメイクオーバー・メディアが鍵となる。「おネエ」は自己努力に基づく成功例として起用される。対象者に恥をかかせ従順にさせた上で成功すれば愛情を一気に受けるストーリーの中で、辛辣さと女らしさが適度に混ざった「おネエことば」がうってつけとのこと。ポスト福祉国家における自己責任論、自己へのケアが公共ではなく企業が受け持つものとなっていった社会的変容の中に位置づけられる。2023/02/10
くさてる
6
TVに代表されるメディアに溢れる、いわゆる「おネエ」タレントが使用する「おネエことば」についての本。でも、純粋な「ことば」についてというよりは、メディアでの彼女たちの扱われかたや、役割を生かしたTV番組についての部分が多く、いまいち論の中心が分かりにくかった。2014/03/09
Sakana
5
オネエの発する彼ら的言語は画面で強調され、さらに反復されることによって「キワモノ」としての地位が与えられていく。それはジェンダー領域を越境しつつも、同時に視聴者の男らしさ/女らしさイデオロギーを揺るぎないものとして再生産していく異性愛主義に基づく策略でもある・・・。言語を通してメディアに回収されていくセクシャルマイノリティという視点。ジェンダー関連の必読書として紹介されたから読んでみたんだけど、とてもおもしろかった。オススメです。2015/11/23
あかいろ
3
こういった切り口からの語学研究というものもあるのか。わたしの知らない様々な領域の研究があるのだなあ。と思った。ただ、あくまでもメディア上で話されている言語の研究のよう。実際に生活していく上で所謂「おネエことば」を使用している人のことを一括りにしてはいけないと思ったので、なるほどーと思いながら斜め読みしました。2015/04/13
もりけい
3
あら、めずらしく「おネェことば」を論じてるじゃない。女でない男が女ことばを使うことに特別な意味があるのよ。これはもう社会の中性化に伴う文化よ。テレビのテロップでおネェの話をピンク色にするところにも目をつけてちゃっかりしてるわよ。2014/05/31