内容説明
透徹した論理と鋭敏な感性により、従来の一葉の作品解釈の通説の誤謬を明らかにし、一葉の強靱な精神を培った一葉日記の精密な読解により、夭折した天才の生活と思想の実体を抉り出した画期的な著述。
目次
『たけくらべ』考
『にごりえ』考
『ゆく雲』考
『大つごもり』考
『十三夜』考
『われから』考
一葉日記考(父則義に対する一葉の心情について;窮乏の生活史として;旧派最末期の歌人の足跡として)
著者等紹介
中村稔[ナカムラミノル]
1927年生まれ。詩人・弁護士。詩集に『鵜原抄』(高村光太郎賞)、『羽虫の飛ぶ風景』(読売文学賞)、『浮泛漂蕩』(藤村記念歴程賞)ほか。伝記に、『束の間の幻影 銅版画家駒井哲郎の生涯』(読売文学賞)。随想に『私の昭和史』(朝日賞、毎日芸術賞、井上靖文化賞)ほか。日本近代文学館名誉館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メルセ・ひすい
2
内容…『たけくらべ』考 日本版「ロミオとジュリエット」…悲劇的恋愛。社会小説であり、女性差別批判、社会批判小説である。『にごりえ』考 お力と源七の死に方は無理心中と合意の情死という二つの解釈があるが一葉が処女だとすれば男性に対して、少女的な本能的な恐怖なり嫌悪なりを持ち続けていた…『ゆく雲』考 『大つごもり』考 『十三夜』考 『われから』考…透徹した論理と鋭敏な感性で、従来の一葉の作品解釈の通説の誤謬を明らかにし、一葉の強靭な精神を培った一葉日記の精密な読解により、夭折した天才の生活と思想の実体を抉り出す2012/12/28
でろり~ん
1
大ハズレでした。なんで今、樋口一葉なのか。と思って読んでみたわけですが、はっきりとはずれでした。評論というジャンルの疲弊をそのまま感じたですね。先人を批難して、それで新たな一葉解釈が展開されればカッチョイイ、んだけれどね。チマチマしたあげ足取りで、一葉の魅力を支える結果にはなっていないようにおもいました。とっても残念な買い物、な読書感でした。2018/02/19