内容説明
いまアラブ諸国で吹き荒れる民主革命の熱風。それは独裁政権だけではなく、私たちの世界認識そのものをも覆した。アラブ・ナショナリズム、アメリカ覇権の凋落、民主化のゆくえなど、多彩な切り口で、日本の報道からだけでは分からない、この歴史的大転換の根底にあるものを問う。
目次
第1章 「中東」を見る視座
第2章 植民地支配からの独立と自立への苦悩
第3章 アラブ・ナショナリズムとその国家体制
第4章 アラブ・イスラエル紛争とその余波
第5章 アメリカ主導の「民主化」とイスラーム運動
第6章 中東政治における民族・宗教紛争
著者等紹介
臼杵陽[ウスキアキラ]
1956年生まれ。東京大学大学院国際関係論博士課程単位取得退学。佐賀大学、国立民族学博物館などを経て、日本女子大学文学部史学科教授。京都大学博士。専攻は中東地域研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kenji Suzuya
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2011年の時点でのカルチャーセンターでの講義録。「アラブの春」について、文化・宗教・歴史の点から解説。オスマン帝国に由来する要素が最重要だという。政治学をちゃんとやったことがない地域研究者に政治事象を語らせるといかにおかしな議論になるか、ということの非常に分かりやすい見本である。直近のここ50年ほどの各国での統治の様子に触れずにどうして政治事象が理解できるなどと思うのだろうか。2012/11/18
wyeth
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著者もあとがきで書いている通り、タイトルにあるような「いま」の時事的な出来事についての本というよりも、そこに至るアラブの歴史や考え方の変遷を解説することを重視した本。現在のアラブ革命の実相について知りたい人には不向きかもしれないが、これを機に本格的にアラブ世界について学びたい人にはとてもいい入門書だと思う。宗教・民族・言語の三層構造によって複雑に入り乱れたアラブ世界を、オスマン帝国の時代に遡り、その後の欧米の植民地政策の歴史を辿ることで深く理解するというアプローチは、とても正当なものに思える。2012/09/29
いっこく
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まさに「何が起こっているのか」知りたくて読んだけど、全ては理解できなかった。それでも、アラブ社会の歩んだ歴史を学べました。2012/06/26
Yuta Utsugi
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中東世界をかんがえるに必要なことをしれる