内容説明
科学の最先端として「物理学の世紀」を演出し、医療やIT、情報工学などさまざまな分野を革新し続けている量子力学。しかしその理論は直観的にはまったく「理解できない」ものだった。量子力学の登場で、世界は、そして科学の意味はいかに変わったのか…。いままで誰も語れなかった「本当の」量子物理学の世界。
目次
第1部(観測者の登場―客観世界への闖入者;情報と確率;二〇世紀科学と量子;数理というツール―生もの、乾きもの)
第2部(量子力学の不思議;物理学界での量子力学の明暗;量子力学の現在;量子力学の教育二話)
著者等紹介
佐藤文隆[サトウフミタカ]
1938年山形県鮎貝村(現白鷹町)生まれ。60年京都大理学部卒。京大基礎物理学研究所長、京大理学部長、日本物理学会会長、日本学術会議会員、湯川記念財団理事長などを歴任。1973年にブラックホールの解明につながるアインシュタイン方程式におけるトミマツ・サトウ解を発見し、仁科記念賞受賞。99年に紫綬褒章を受けた。京都大学名誉教授。2001年より甲南大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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磁石
10
物理学だかの基本情報がない人(私も含めて)には、ポカーンとなってながし読みしてしまうかもしれない。ただその中でも、量子力学と密接に関わりがあると思われていたアインシュタインがそれに反対していたこと、今までの古典物理学の視点でミクロ世界を語ろうとする誤謬を無視してはならないこと、だけどそうでもなければ今の技術や精密機器の発展はあり得なかったこと、正しい世界の有様と教科書で教えるモノは全くの別物だがわかりやすいモデルを作ることができないでいる現状などなど、興味を惹かれる量子力学の現状が書かれていた。2014/06/22
月をみるもの
6
日本の一般相対論の王様として物理の世界に君臨した著者が、いまさらながら量子論について述べた本。世界の話はいろいろ出てくるが、お膝元の京都で作られた町田/並木理論とかについて、まったくなにも言及してないのが不可解。http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/92400/1/KJ00004774522.pdf2016/07/02
よく読む
4
17:22 自室にて読了。対象の読者が幅広く、話し言葉の如き体裁で親しげに書かれているが、専門用語を説明もほぼなく使われることが多々あり一般読者は置いてきぼりになる。全体としては1, 2ページごとに題目が振られていて、頻繁にトピックが転換し一貫的で体系的な構成に欠ける。何が言いたいのかわからない。これはエッセイだ。2013/09/02
massn
2
量子力学の持つ状態ベクトルとオペレータという二つの要素について考えなおしてみる機会にはなる。全体としては量子力学をめぐるエッセイと言っていい。量子情報の微妙な立ち位置を改めて認識した。2012/02/26
ykoro
1
読むのに苦労する本。量子力学の基礎理論や著者のこれまでの著作を知らないと、厳しいかも。残念だったのは、表題に関する回答が明示的に書かれておらず、全体的にエッセイ的に体系付けられず書かれていること。本質的な話題と、非常に軽い内容が入り交じって出てくる部分もある。京大理学部長、日本物理学会会長を歴任されている方なので、内容的には素晴らしいもののはずですが、咀嚼できたのは一部にとどまった。何がメッセージで付加価値か、よくわからなかった。。。。。2012/05/13