内容説明
貧困・格差・医療福祉など現下の諸問題を解決し、きたるべき社会を構想するにあたって大きな注目を集める「ベーシックインカム(基本所得)」。それは、何を、どうやって分けるのか?近年の錯綜する議論を精査し、理念と政策を丹念に検証。社会の根底まで掘り下げて考えなおすことによって、ベーシックインカムをめぐる議論を新たな次元に導く、画期の書。
目次
第1部 BIは行けているか?(此の世の分け方;何が支持するのか;所得(再)分配に限る必要はないこと ほか)
第2部 政治哲学的理念としてのベーシックインカム(いわゆる雇用レント説という理解;ヴァン・パリース政治哲学の全体像;「ギフト」の公正分配 ほか)
第3部 日本のBIをめぐる言説(財政コストの見積もり;フラット税;フランス/南ア/シチズンシップ ほか)
著者等紹介
立岩真也[タテイワシンヤ]
1960年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。現在、立命館大学院先端総合学術研究科教授。専攻、社会学
齊藤拓[サイトウタク]
1978年生まれ。立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点リサーチ・アシスタント。専攻、政策科学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
15
超格差社会において、どのような所得再分配とか、基本的所得が必要か。制度としての生活保護だけに頼ることは容易ではない。家事労働を賃労働に換算する話があるので、労働を比較するには何らかの指標が必要。その指標が不十分である。アベノミクスで世の中にはカネが有り余っているようだが、貧しい人に行き渡らない問題。働かない、と、働けない、の線引きはしにくい(133頁)。医師の診断書が必要なのか。仕事に就かない人を放置することが不当(136頁)。そりゃそうだ。ハロワカード持っていないだろうから。付加価値(204頁)が鍵?2014/02/20
Takada Yohei
2
ベーシックインカム。リーマンショック時に聞いた言葉。新しい社会保障制度の概念。本が難しかった。流し読みだと理解できない。抜粋で給料が違うのは労働生産性が違うから?そのような物言いはジョブという生産ツールの性能の違いを個人の能力の違いと錯覚しているにすぎない。一般的な概念として使用する場合は、個人の能力やスキルを指すものではない。まさに、前の上司に言ってやったことだ。2013/12/08
nekohashiru
2
的を得た内容なのだということだけはわかるけれど、やはり難解のままでした。2012/02/26
erthe
2
これ、読本としては紛れもなくクソ本。前半に立岩氏、後半に斉藤氏の文章の順番としては逆の方がわかりやすい。先に斉藤氏の文章から読むのをおすすめします。この本はBI入門書ではなくBIの歴史、現在の争点を比較的中立的に記述しているので研究向けの書籍でしょう。2010/05/08
渓流
2
選択ミス。政策論の話かと思えば、そうではなく、哲学論であった。直ぐに放擲。2010/05/01