内容説明
「地上の楽園」ザナドゥーとは、元来はフビライ・ハーンの元帝国の夏の都のこと。西洋人のオリエンタリズム幻想とシナ趣味が濃密に凝縮されたザナドゥーへの憧憬は、領土的野心をも秘め、宣教師そして探検家などの壮絶な冒険と夢幻のロマンの数々を生み出す―。中国古典の第一人者が該博の知識と豊かな想像力で紡ぐ目眩く東方綺譚12篇。
著者等紹介
中野美代子[ナカノミヨコ]
北海道生まれ。北海道大学中国文学科卒業。1996年退官まで北海道大学教授を務める。『西遊記』の研究・翻訳のほかに博物誌的エッセイや小説も多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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三柴ゆよし
12
虚実混交する東西交流史のおもしろさを凝縮した短篇小説集。縦横無尽に展開される博覧強記もさることながら、あやふやな歴史の空隙に、するりと虚構を潜りこませる手並みもまたあざやか。古代より現代に至るまで西洋人が抱き続けてきた東洋憧憬(オリエンタリズム)を、あたかも望遠鏡をさかさまにのぞくように裏返してみせるこの手法は、東洋の想像力と長年膝突き合わせてきた著者だからこそなせるわざか。中高生の頃、著者全訳の『西遊記』(岩波文庫)に夢中になった私としては、時折顔を出す旧知の人物たちとの出会いもまた楽しいのであった。2012/01/08
ユウティ
4
乗り切れなかったのでリタイア。ヨーロッパ人の視点での中華世界ってものすごく魅力的だし雰囲気も好きな感じだったんだけどな。史実なのかフィクションなのか、世界・中国国内・周辺地域の地理、またそれぞれの章がどんな時代なのかあまりにも知識がなさすぎて歯が立たなかった。わたしはリアル世界が舞台の場合、あやふやな中に迷い込むよりは、現実と創作の境目をある程度自分で理解できる方が好みなのかもしれない。2024/03/31
cobalt
4
美代子うっすら腐のにほひ。2013/03/24
しまりんご
3
東西交渉史を歴史小説風に短編形式でまとめた本。好奇心や冒険心を掻き立てられます。ちょいちょい参考文献も出てくるので、東西交渉史初学者の私には嬉しいところでした。2010/07/03
みなぽん
2
「西から見た東の土地」がコンセプトなので、西洋人の東洋蔑視みたいなものが感じられてちょっと嫌だった。けれどザナドゥーという単語には異国情緒を感じる。2013/10/23