アクシデント 事故と文明

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  • サイズ B6判/ページ数 199p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784791762453
  • NDC分類 369.3
  • Cコード C0010

内容説明

安全システムの欠陥のみが、原発事故・航空機墜落・テロなどの大惨事を誘発するのではない。技術文明は常に新しい事故を発明する。テクノロジーに原罪のように予め蓄積された未知なる災禍の種子が、不可避的に突如炸裂する―。事故とは何かを根源から問う。全く新しい文明論。

目次

1 事故の発明
2 事故というテーゼ
3 事故博物館
4 事故の未来
5 期待の地平
6 未知数
7 公共的情動
8 原罪的事故
9 走行圏

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

takao

1
現代文明は効率性を追求することで、密度が大きくなってしまっており、そのことが、事故の被害を拡大している。ただ、飛行機事故がその悲惨さとは裏腹にキロメートル当たりでは最も安全な交通機関でもある。 むろん、原子爆弾の発明前と使用後とでは、世界の見え方が違うと言ってもよいとは思うが、昔に戻れるわけでもない。 事故は全くの偶然で起こるものではない。起こるべくして起こるという認識が重要である。 著者にはそのような認識がないらしいが、致し方あるまい。 2018/10/03

Mealla0v0

1
事故=偶然accidentは必然である。テクノロジーが発明されたとき、事故もまた発明されたからだ。生活世界にテクノロジーが配備されたとき、それは生活世界を地雷原に変えたということなのだ。路上の大量虐殺としての交通事故とは、一件の事故を指しているのではない。それは、毎日大量の人間が死んでいる事故の総体として、つまり局所的で個別的な事故ではなく、全域的で量的なものとしての事故が、現代社会で発生している。ヴィリリオの洞察は、クラウゼヴィッツが殲滅戦を戦争の絶対形態と見做したように、事故の絶対形態を示している。2017/11/17

Mealla0v0

0
速すぎるが故に事故を引き起こす。時速500kmの車がカーブを曲がり切れずに事故ってしまうように。しかし、事故=偶発性accidentは奇妙にも必然である。というのも、車を発明することは交通事故を発明することでもあるのだから。リスクの生産は事故への恐怖=パニックを産み、公共的情動の管理が問題化するのだ。それはいまや局所的なものではなく全域的なものとなる。総力戦‐冷戦の帰結としての環境と種の壊潰。加速し過ぎた現代文明は事故必然区域たる速度体制のなかにいる。それは人類の生き残りゲーム、地球規模のショアーなのだ。2017/07/11

madofrapunzel

0
★★★★★ 震災が起こって、はじめて何かを読もうと思って読んだ本だった。 本書のもっとも大切な主張は、「発明と事故は表裏一体であり、ゆえに事故とは既に既成の発明である」ということだ。これにははっとさせられた。私たちは、原子力を生み出した時から、チェルノブイリやフクシマの事件を「発明」する運命にあったのだ。2012/04/22

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