内容説明
現代批評理論の震源デリダ。脱構築、差延、代補、自由、秘密、ドラッグ、贈与、来たるべき民主主義…。言語の厳密な経験から生まれたデリダの独創的な思考を読み通すために、愉快で挑発的な文体で書かれた、傑出した入門書。
目次
第1章 なぜデリダなのか
第2章 鍵観念
第3章 脱構築地震
第4章 自由であれ
第5章 代補
第6章 テクスト
第7章 差延
第8章 世界で最も興味深いもの
第9章 怪物たち
第10章 秘密の生活
第11章 ポエトリー・ブレイク
第12章 アフター・デリダ
著者等紹介
ロイル,ニコラス[ロイル,ニコラス][Royle,Nicholas]
サセックス大学の英語教授
田崎英明[タザキヒデアキ]
1960年生まれ。立教大学教授。専門は、身体社会論、政治理論、セクシュアリティ理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tieckP(ティークP)
3
結局のところ、デリダは愛の哲学者だという。いや、デリダは勇気の哲学者ではないか? 彼は、誰もが思う「絶対的なことは言えない」という漠然とした考えを、自分の生涯さえ賭して突き詰めた。その人生を担保にした在り方は、人の存在をかけた戦いだ。いや、デリダは臆病な哲学者だ。権威を否定するようなそぶりを見せながら、彼が例示のために過去から引いてくるのは権威的なテクストであり、そこに僕らは彼が生きていくための「媚び」さえ見出せる。では人に勇気を持たせ、人を臆病にさせるものはなんだろう、やはり愛だろうか、決定はできない。2012/05/10
あなた
1
ちなみにデリダのオナニーに関する考え方がジジェクについで興味深い。ドゥルーズも卑猥なタームを故意につかうことでカマを掘り続ける西欧哲学史を挑発することが好きだったが。文学を精液と並置するとかね。2009/07/11
あなた
1
ぼくはデリダから何を学んできたのかなと読みながら考えてた。フーコーからもアルチュセールからラカンからもバルトからもブルデューからもホールからも何を学んだかきちんと整理がつくのだがデリダだけはなかなかどうしてなのだ。でも、きっとこういことだ。おそらく、デリダから学んだことは「死」の作法(差延)である。「いきいき」としたことば(=現前)などないということだ。そしてそれこそがまさに脱構築という経験なのであり、つねに・すでに他者を呼び込んでいくということでもあるのだ。2009/07/11
Ecriture
1
ざっと読み返す。デリダ入門には向かない入門書。デリダ用語をてっとり早く知りたい人にはまず向かない。というのも「なぜ、今デリダなのか」、あるいは12章の「デリダの後には何が来るか」という問いに著者はデリダ的に答えようとするからだ。デリダの受容の変遷、ポストモダンの転回が抑えられてないのもあってあんまり好きじゃない。2009/01/26
つゞみ@223tudumi
0
デリダ強化期間、入門書その1。デリダは表現が難解と聞くので、小手先から手を出すが、やはり難解。しかし「他者」に対する配慮を学び得た、つまりテクストを忠実に、病的なまでに忠実にという痕跡への配慮。差延、痕跡という性質。反復可能性。反復可能性が同時に「そのたびごとにただ一つ」であること。咀嚼しきれない感があるものの、再び帰ってくることもあろう。2012/06/23