内容説明
性を決定する染色体XとYが発見されるまでの歴史的経緯を追い、X染色体の性決定への関与、遺伝病や自己免疫疾患などを引き起こすメカニズムを詳細に解明。最新の研究成果をもとに気鋭の学者が描き出すX染色体のすべて。
目次
第1章 男と女のちがいを生み出すもの
第2章 ケント公の精巣
第3章 女は二つの生をもつ
著者等紹介
ベインブリッジ,デイヴィッド[ベインブリッジ,デイヴィッド][Bainbridge,David]
ロンドンの王立獣医学カレッジで比較解剖学および生理学を教える。またケンブリッジ大学のセント・キャサリンズ・カレッジで臨床解剖学のフェローでもある
長野敬[ナガノケイ]
河合文化教育研究所主任研究員。自治医科大学名誉教授
小野木明恵[オノキアキエ]
翻訳家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
手押し戦車
10
遺伝子にはXとYがある。Xの遺伝子が利己的な働きによって胚のなかに入り込んで踊りをする。そこにたまたまXより小さな遺伝子yがポツリと踊りを傍らで見ている。いつの間にかXとYがくっつき男となる。XがYの事を無視してXとXで女になる。遺伝子上の特殊な病気は主にXの異常からくる。男の場合X遺伝子が一つしかない女はXXで二つ正常な方をコピーすることが可能だ。このX遺伝子は利己的な反面実はかなりの反逆な性格を持っている。それは壊れた遺伝子を先祖に移していってしまうことだ。まさにXは利己的であり利他的でもある遺伝子。2014/04/18
ものいううなぎ
2
X染色体不活化の話が特に興味深かった。生命維持に重要な遺伝子を多く含むX染色体だが、数が多すぎても害になるらしく、女性(XX)の体細胞では必ずどちらかのXが不活性化されている。どの細胞でどのXが不活化されるのか、仕組みはよく分かっていない。一方、男性(XY)の体細胞はXを一つしか持たないので、すべて同じXに由来する。結果として、XX女性は両親由来のX染色体モザイクということになる。三毛猫が♀だけなのもこれで説明できる。…息子は母親に似る、といわれるのもX染色体のせい?2012/04/19
Akio_Satake
1
ひといきに読める。読み進んでは膝を打って感心してしまった。知れば知るほどに探究心を刺激される遺伝子の世界をひじょうに要領よくまとめたコンパクトな一般向けで、たいへんに旨味のある一冊だった。いや~、そうか~、オスの三毛猫が珍しいのは知ってはいたけど、そうなんだ~。モザイク…なるほどねえ。2012/10/07
千代
0
図書館本。X染色体とY染色体の話から、働きの違いから生まれる男女の違い、三毛猫のモザイクの話とか、X染色体の数によって生じる病気の話とか、動物によって男女の子供が産まれる選択方法の違いとか、分かりやすい言葉で上手くまとめられていて、とても分かりやすかったです。2013/01/27
明日のあした
0
○2021/10/25