内容説明
ニューヨークの都市文化を身をもって体験し、その鮮明な昂奮を克明に著した最初の日本人作家、永井荷風。都市の熱気、自由と快楽をこよなく愛した彼の眼差しを通し、20世紀最大のメガロポリスの全体像を当時の絵葉書とともに鮮やかに蘇らせる、まったく新しい都市文学論。
目次
あゝ、六月の夏の夜!
独ハドソン河畔を歩む
ブロードウエイの高き建物黒く聳えて
鴉片の筒を恋人の如くに引抱え
電車の響は岸打つ波の如くに
マンツアニラの酒を飲みたいと思って
余は都会の夜を愛し候
長いレースの裾から踵の高い靴を見せ
海上はるか、幾多の楼閣
客を呼ぶ声が彼方から響き出すと〔ほか〕
著者等紹介
末延芳晴[スエノブヨシハル]
評論家。1942年東京都生まれ。東京大学文学部中国文学科卒業。1973年より98年までニューヨーク在住。アメリカの現代芸術・文化について評論活動をおこなうかたわら、永井荷風や夏目漱石らの海外生活体験が後の文学的展開に対してもつ意味について、調査・研究を続ける
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