猿と女とサイボーグ―自然の再発明

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  • サイズ A5判/ページ数 523,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784791758241
  • NDC分類 461
  • Cコード C1010

内容説明

霊長類学、免疫学、生態学など、生物科学が情報科学と接合される―。高度資本主義と先端的科学知が構築しつづける“無垢なる自然”を解読=解体し、フェミニズムの囲い込みを突破する闘争マニフェスト。

目次

第1部 生産・再生産システムとしての自然(動物社会学とボディポリティックの自然経済:優位性の政治生理学;過去こそが、論争の場である:霊長類の行動研究における人間の本性と、生産と再生産の理論;生物学というエンタプライズ:人間工学から社会生物学に至る性、意識、利潤)
第2部 論争をはらんだ読み:語りの本質と語りとしての自然(はじめにことばありき:生物学理論のはじまり;霊長類の本質をめざした争い:フィールドに出た男性=狩猟者の娘たちの1960~1980;ブチ・エメチェタを読む:女性学における「女性の経験」への挑戦)
第3部 場違いではあるものの領有されることもない他者たる人々にとっての、それぞれに異なるポリティクス(マルクス主義事典のための「ジェンダー」:あることばをめぐる性のポリティクス;サイボーグ宣言:20世紀後半の科学、技術、社会主義フェミニズム;状況に置かれた知:フェミニズムにおける科学という問題と、部分的視角が有する特権;ポスト近代の身体/生体のバイオポリティクス:免疫系の言説における自己の構成)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

SQT

2
正直なところ、あまり理解できなかった。難しい。議論の本題としては、科学的な知のあり方も時代(状況)によって位置付けられている、と。そこで霊長類学における猿の位置づけを見ていったり、生物学における免疫(免疫が非-自己と自己の境界を画定するものだから)から個の位置づけを見ていったりするんだろう。サイボーグについては、サイボーグの置かれている位置が女性の置かれている位置(特にサードウェーブフェミニズムで言われ始めた有色女性の位置)と相同だという話だろうけど、全体を通してよくわからなかった2017/06/11

kei

2
”サイボーグ・ポリティクスが掲げる目標は明解である。それは、いかにして西欧的ロゴスの具象化としての「人間」にならずにすむかを学ぶことである。ハラウェイの言う西欧的ロゴスの伝統とは、人種差別的・男性優位的・本主義的・進歩主義的であり、つまるところ「文化生産の源泉とうそぶいて自然を搾取する伝統、ひいては他者を再考することで自己再生産する」ものである。”(副島美由紀 1994より引用)2014/07/27

Mentyu

1
和訳なのに複雑な英文を相手にしているような、非常に読みにくい本だった。原文も相当難解らしく、訳者あとがきからも苦心したことがうかがえる。頑張って読了したものの、客観的な科学は存在しえず、そこにはジェンダーが介在するということを「猿」の研究を例に考証する前半と、肉体性を「サイボーグ」で乗り越えることでジェンダーを克服する後半の話があるということ位しか分からなかった。専門的にジェンダーの研究をやっている友人でさえも2回読んでやっと自力で掴める部分が出てきたと言っているし、1回読んで分かる本ではないのかなと。2018/02/03

筑波大学ミステリー研究会

1
講義で紹介され、読んでみました。著者の言う「サイボーグ」というあり方は、ネットが普及した現代では自明になりつつある気がします。それと、フェミニズムについて僕が思っていたより多くの文量が、というか、ほとんどがフェミニズムについてのべていたのですが、「女性」を一枚岩?というかなんというかそんな感じにしないフェミニズムもあるんだと思いました(マル) #小並感2012/08/16

koillmatic

0
自然と人工のハイブリッド体としてのサイボーグの概念、あるいは着想を起点として現代を思考することは、「人間」という概念のもとで保証されていた統一が失効したあとの世界について問いかけることにほかならない。 いま、人間は何へと生成変化しようとしているのか。 この問いは必然的に多数性、可塑性へと開かれているとハラウェイはいう。 先端テクノロジーにより人工と自然の境界のあいまい化=サイボーグ化が強力に進行する現代世界にあって、この本はいまだに指針となるだろう。 攻殻機動隊とかブレードランナーが好きな人に薦める。2010/09/02

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