内容説明
人類が家事労働から解放される日。フーリエらのユートピア思想に示された、家事空間の共有化や協同家事のイメージは、やがて“キッチンのない住宅”“生活装置としての機械住宅”“家事ロボット”などとさまざまに形をかえ、人類を家事労働から解放する夢をそだててきた。家事は“労働”なのか、それとも“生活”なのか。急速に家事の商品化が進みつつある現代を、まったく新しい角度から読み解いた“マイホームの未来学”。
目次
キッチンのない住宅
天使たちの機械住宅
貧困な都市生活者に規格化された料理を
国家につながる家政学―明治の日本家政学
商品世界に発見された家事
家事はロボットにおまかせ
主婦の労働機械―ドイツの家事合理化
家事の改善をめざして―両大戦間の日本の家事
家庭という戦場―戦時下の家事
量産戸建て住宅と生活モデルの喪失〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みこれっと
1
家事という生きていく上で避けては通れない(やらなくていい人もいるけど)労働を、いかに合理的にするために研究されてきたのか。家事そのもののシステムの構築などずっと考えられてきたんだなあ。思いかけずストウ夫人(アンクル・トムの小屋の著者)の名前が出てくるのには驚きました。2014/07/20
Metonymo
1
「近代以降、家事という労働の省力化への努力もふくめて、それをどのように感じ、どのように実践しようとしてきたのか。それを捉えなおして見ることは、実のところ、わたしたちの思考、そして感覚の歴史的変容を見ることにほかならない。」ビーチャー、パースの19世紀半ばの家政学から貧困・福祉・合理化と住宅問題、戦争と現代消費の社会の共通点など興味深いことさまざま。デザイン関係の著作が多い著者だが、日用品・日常から考察する人なので、とても学究的で面白い。2013/04/28