クローゼットの認識論―セクシュアリティの20世紀

クローゼットの認識論―セクシュアリティの20世紀

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  • サイズ B6判/ページ数 376,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784791757220
  • NDC分類 367.9
  • Cコード C1010

内容説明

同性愛を異質化し、周縁へと追いやる異性愛主義は、19世紀末に始まったものにすぎない。メルヴィル、ニーチェ、プルーストなどを読み解きながら、その中にホモ/ヘテロセクシュアルの分断を不可能にする揺れを発見し、セクシュアリティの混沌を見つめる意欲作。

目次

公理風に
クローゼットの認識論
二項対立論(『ビリー・バット』―ホモセクシュアルのいなくなった後で;ワイルド、ニーチェ、男の身体をめぐるセンチメンタルな関係)
クローゼットの野獣―ヘンリー・ジェイムズとホモセクシュアル・パニックの書
プルーストとクローゼットの見せ物

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

35
ジェンダー論で江戸川乱歩の『孤島の鬼』について書く時の参考資料として読了。男性のホモフォビアによって家父長制がより一層、強固なものとなっていると説くが最後まで理解できてない。メルヴェルの『ビリーバット』は読んだことがあるけどホモソーシャルな描かれ方がされていたなんて全然、気づかなかったです。そしてヘンリー・ジェームズの章では前任の家庭教師を堕落させ、少年少女にみだらなことをしたとされる下層階級の男への嫌悪を描いた『ねじの回転』が取り上げられていないのは対等とされる成人男性間の性的ヒエラルキーを論じるためか2014/07/22

ヒナコ

2
同類は同類を知る。クローゼットの中に潜む同性愛者を確定するためには、予め同性愛的なものが知られていなければならない。つまり、それ以前に男性同性愛が男性間でパラノイア的に共有されている必要がある。しかも、実際の同性愛者を物理的に罰するシステムを同時に使って、同性愛的なパラノイアを異性愛者の秩序に作り変える必要もある というのが本著の主旋律だろうか。 クローゼット/カミングアウトの二項対立を成立させるのは、医学の言説を含めたクローゼットの外の語り手の特権的な場所であるという議論が難解で何度も迷子になった。2018/10/17

小橋川

2
文学に関する書評から哲学、社会学等多数の領域を横断している。昨今の同性婚の隆盛から興味を持ち読み進めたが、序論の公理の時点から「これは凄い本だ」と分かる。後の章を見なくてもいいのでここだけでも読む価値があった。4、5章から得られるヘテロセクシュアル中心世界でのクローゼット認識の話はゾクッと来るものがある。しかし文学作品を通しての分析の巧緻さに理解の及ばない所が多々あり。再読しなくては。2013/05/08

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