ジェンダー・トラブル―フェミニズムとアイデンティティの攪乱

ジェンダー・トラブル―フェミニズムとアイデンティティの攪乱

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  • サイズ B6判/ページ数 296,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784791757039
  • NDC分類 367.2
  • Cコード C1010

内容説明

権力はいかに言説のかたちをとって身体・精神・欲望を形成するのか。女と男の弁別が身体の自然に根ざすとする本質論的前提を根底的にくつがえしセクシュアリティ研究の方向を決定づけるフェミニズム・現代思想の最重要書。

目次

第1章 「セックス/ジェンダー/欲望」の主体(フェミニズムの主体としての「女」;「セックス/ジェンダー/欲望」の強制的秩序;ジェンダー―現代の論争の不毛な循環 ほか)
第2章 禁止、精神分析、異性愛のマトリクスの生産(構造主義の危うい交換;ラカン、リヴィエール、仮装の戦略;フロイトおよびジェンダーのメランコリー ほか)
第3章 攪乱的な身体行為(ジュリア・クリステヴァの身体の政治;フーコー、エルキュリーヌ、セックスの不連続の政治;モニク・ウィティッグ―身体の解体と架空のセックス ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

テツ

26
肉体的な性差は社会的な性差とは何ら関係がないという考えてみたらあたりまえなこと。たまたま子を自らの胎内で形成できる身体に生まれたかそうではないのか。そんなくだらないことでいつのまにか創り上げられた性差という強固な壁で分断されてしまうことの馬鹿らしさ。男だから女だからという理由で押し込められていた理不尽な枠組みはもう破壊しよう。差異はある。肉体に違いはある。分泌するホルモンにも違いはある。でもあなたはまず女である前にあなただ。狭苦しい二元論的な二者択一の男と女という枠組みすら破壊していこう。2018/12/02

柳瀬敬二

13
フェミニズムについてのヘビーな学術書。我々はジェンダー以前に存在する肉体的な性を固定された実在のものとして考えがちだが、実際はその男女の区分けすら社会的な要請に基づいて成されたものであることが明らかになる。旧来のフェミニズムは男を仮想敵として、その対極としての女性性の発見向上を目標としていたが、そうした議論はやや幼稚な方向に走ることも多かったように思える。だからこそ、本書のように男女という二元論を脱構築しようという考え方は極めて意義深いことだろう。性の多様化が訴えられている現代では特に。2016/06/16

hitotoseno

11
人には「セックス」と「ジェンダー」が備わっており、片や身体的な性別、片や社会的な性別である、というのはちょっくら社会学をかじれば誰しもが教えられる話だ。フェミニズムの歴史も長らくこの区別を採用しており、社会的な規範によって押し付けられるジェンダーから女性を解放しなくてはならない、と説いていた。そこではセックスは不問に称され、何なら「アイデンティティ・ポリティクス」の名の元に連帯の目印にもなるものとして積極的に利用されていた。2018/02/28

zumi

8
おお難しい...... ジェンダーの起源、本物のアイデンティティ、表象/代表、フェミニズム、二分法、セクシュアリティなど、自明と思われている設定のメカニズムに対して、懐疑的な姿勢で臨み、恣意的な外部の権力や言説によって「作られた」カテゴリーを撹乱させて、絶えず不確定なものにしようとする試みのエッセンスが満載されている。政治や権力と結びついているという構造を意識できるかどうかということ。「不自然/自然」の二分法にもさほど囚われることなく、思考するという点で、中々興味深いものだったと思う。2014/06/12

あなた

5
難解で意味不明といわれるバトラーだがゆっくり読んでいくと実に面白い。要点はひとつ、ジェンダーは決定的にはなりえずそのつど構築され続けられつつあるものである、ということだ。しかもそこには場の力学が働いている。彼女の言説によって、男が/女がフェミを語ることの如何という問題は破砕された。女だって男同様、ジェンダーを構築し、保守的に貢献する場合もある。だからこそ、われわれは撹乱という事態を演じ続けなければならない。ジェンダー・アイデンティティーにおいて、トラブることがネガからポジに反転される。2010/08/17

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