内容説明
ベイトソンの学習理論、フロイト‐ラカンのシニフィアン理論、マトゥラーナのオートポイエーシス理論などと、分裂病や神経症の臨床経験を独自に重ね合わせ、精神病理学理論に新たな地平を拓き、吉田戦車、D.リンチ、F.ベーコン、H.ダーガー、宮崎駿、庵野秀明など、特異な作家達の描く「顔」のなかに、人間の本質と文化の現在を読み解く、野心的な試み。
目次
第1部 文脈の分析(「運動」の倫理―あるいは表象コンテクスト試論;妄想漫画事始め;吉田戦車論―健常なる破瓜病;リンチ状無意識―リンチとベーコン ほか)
第2部 文脈の生成(ウィルス性唯物論者;「存在しない女性」の効用―「サブリミナル」と女性の表象;回帰する「学習2」―ラカン・ベイトソン・高野文子;抱擁函あるいはドゥルージアンの発達 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gotoran
33
精神病理学・病跡学の専門家の精神科医(著者)が分裂病や神経病の臨床経験をベースに漫画・アニメ・絵画等のサブカルチャーを題材に精神分析的な視点で思索・論考した本書。読み応え十分、難解ではあったが、(知的)好奇心が擽られた。キーワードは文脈(コンテキスト)としての顔、顔の固有性。(フロイトー)ラカンによるシニフィアンとファルスの論理、ベイトソンのダブルバインドと学習理論、マトゥラーナのオートポイエーシス理論への言及に興味深々。フロイトーラカン、レヴィナス、ドゥルーズの基礎知識不足痛感。2014/07/26
tk
1
エヴァンゲリオンの項目が面白かった。2012/03/29
masmt
1
封印されてしまったヘンリーダーガー装丁の「文脈病」。図書館で一度借りて読んだことがある