金沢大学人間社会研究叢書
ビザンツ貴族と皇帝政権―コムネノス朝支配体制の成立過程

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  • サイズ A5判/ページ数 475,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784790715504
  • NDC分類 209.4
  • Cコード C3022

内容説明

11世紀後半、ビザンツ帝国は未曽有の危機に直面していた。対外的危機が日増しに昂進するなか、門閥貴族が皇帝権力を巡って抗争を繰り広げたことが政局の混迷に拍車をかけた。激動の歴史を追い、最新の印章学研究の成果を駆使して権力闘争の当事者である貴族たちの実像に迫り、一連の抗争の最終的な勝利者となったアレクシオス1世が強固な権力基盤を獲得し、新たな支配体制を樹立するまでの軌跡を論究する。

目次

十一世紀ビザンツ政治過程論の射程―課題と方法
コンスタンティノープルの都市騒乱―皇帝改廃劇のシナリオ
ビザンツ軍事貴族の実像
ビザンツ貴族反乱の東と西―十一世紀中葉の事例から
イサキオス一世とコンスタンティノス十世の治世をめぐって―過渡期のビザンツ皇帝政権
ロマノス四世ディオゲネスの「敵」―マンツィケルトへの道
ビザンツ領小アジアの解体
バルカンの兵乱
アレクシオス一世の権力確立過程―軍幹部構成と陰謀事件の分析から
ビザンツ属州行政と名望家層―コムネノス朝期のテッサロニケ地域を軸に
コムネノス朝支配体制の存続―アレクシオス1世没時の権力闘争を軸に

著者等紹介

根津由喜夫[ネズユキオ]
1961年群馬県生まれ。金沢大学法文学部史学科卒業。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。専攻、ビザンツ帝国史。現在、金沢大学人間社会研究域歴史言語文化学系教授(人文学類担当)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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MUNEKAZ

6
反乱が相次ぐ11世紀のビザンツ帝国の政治状況についての論集。マケドニア朝の崩壊からアレクシオス1世によるコムネノス朝の創始までの政治史としても読める。馴染みのない官職名、同姓同名の連続に慣れれば、「政敵を倒すために外国勢力と結ぶ貴族」「官職で軍事貴族の引き止めを図る皇帝」「都からの自立を図る地方軍閥」「荘園化する公領」といった日本史でもおなじみの「中世」世界が広がっており面白い。文献史料ではなく印章に刻まれた資料から、その人物の来歴を考察する手法も興味深かった。2017/11/09

杞人

4
「効率的で、出自を問わず、優れたものに栄達を約束する官僚機構にせよ、一般民衆から徴募された国民軍としてのテマ軍にせよ、国家の保護と規制による産業振興策にせよ、さらには単一民族国家が形成されたことで国民の求心性が向上したという言辞にせよ、そこで掲示されている中期ビザンツ国家像の背後には、二十世紀前半までの近代国民国家の理想の姿が透けて見えるのは明らかである」という、オストロゴルキーに代表される十一世紀転換論に対する指摘は言われてみれば全くその通りで、能天気に信じていた私は思わず赤面の至りというところ。2012/05/29

テキィ

4
爵位が最重要というのも、室町に似るなぁ… コンスタンチノーブルで略奪し王位に付いたので市民や他の貴族にあまり気がねなく長期の政治体制を確立できた。戦記ものとしても面白かった。2012/05/02

じょあん

1
11世紀中葉からアレクシオス1世没時までのビザンツの政治史。軍事貴族は軍隊組織を足掛かりに勢威を高め、地域で有力家門同士で結びついて、それを基盤に皇帝権力を争奪したという。そしてイサキオス1世やコンスタンティノス10世という過渡期を経て、広く有力家門を姻戚関係を通して取り込み、皇帝を家父長とする疑似家族「コムネノス一門」を形成して安定した王朝を生み出す。文献・印章資料・先行研究の知見を駆使し、プロソポグラフィーの手法を取り入れて当時の実態に迫っていく。この時期のビザンツ政治史の集大成・決定版といえる一冊。2020/01/30

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