内容説明
シカ、イノシシ、トキ、アシカやアザラシ、そして山野の植物…様々な生物と人はどのような関係を築いてきたのか。遺伝学、生態学、地理学、考古学、民俗学、文化人類学など学際的アプローチによって、両者の関係の過去・現在、未来を展望する。
目次
日本列島における野生生物と人
第1部 野生生物・人関係を把握する視点(DNAからみた生物の進化;考古学からみた人・動物関係史 ほか)
第2部 植物の生態と人びとの生活(世界の中での日本の森と里山;九州山地の植物利用―椎葉村の植物誌 ほか)
第3部 動物と人とのかかわりの歴史(「シカの生態系破壊」から見た日本の動物と森と人;歴史的自然としての海洋―日本近海の海獣類と猟業史 ほか)
第4部 現代社会のなかでの野生生物(人間社会とイノシシ―西日本における変化と獣害;希少動物の現状と保護政策―沖縄島北部を中心として ほか)
座談会 人間が関与した自然を考える
著者等紹介
池谷和信[イケヤカズノブ]
1958年生まれ。東北大学理学部卒業。東北大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学。博士(理学)。現在、国立民族学博物館教授、総合研究大学院大学文化科学研究科地域文化学専攻教授。専門分野:日本、アフリカ、極北における生き物と人とのかかわり方の比較研究および地球環境問題の人類学的・地理学的研究を進めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamakujira
4
異なる著者が執筆した12章は、発掘遺跡から出土する動物の骨についてだったり、山村での植物利用の歴史だったり、シイラの価値と漁法の変遷だったり、国内絶滅したトキの放鳥活動の考察だったり、動物学、植物学、生理学、生態学、民俗学、考古学、環境学など、多岐にわたる方向からのアプローチはおもしろい。ニホンジカの遺伝子系統だとか、捕獲頭数の記録から探る日本近海の海獣生息数とか、シカの食害と頭数管理への疑念とか、ヤンバルの森はほぼ二次林らしいとか、興味深い話も多い。いろんな見方、考え方を教えてくれるね。 (★★★☆☆)2020/05/30