内容説明
いま教育現場には、単なるハウツーではない理論が求められている。しかし、国語教育の現場で必要とされる理論と、言語学/日本語学や文学研究が基盤としている理論とには絶望的な差異が存在する。新しい学問「母語教育学」に立脚して、その差異をつなぐ手立てを模索する。
目次
第1章 研究方法論の再構築
第2章 テクスト/文章の分析理論
第3章 テクスト/文章の解釈理論
第4章 自己/言語/教育
第5章 「作品=教材」論―「作品」は生きることの「教材」である
第6章 国語科解体/再構築に向けて
著者等紹介
難波博孝[ナンバヒロタカ]
広島大学大学院教育学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぴー
4
国語科において教科書は教材である。教科内容そのものではない。子どもたちを揺さぶる切実なテーマを設定し、その中で当該の教材が読まれなければならない。このような基礎的な内容に加え、著者による子供たちのアンケートを元に再構成した国語科教育の提案が、分かりやすく書かれた一冊。2017/02/25
澪標
0
良書。2012/10/06
masasamm
0
現状の国語教育に批判的な立場から、研究者としての現状の科学的な分析をして、あらたな国語教育への提言を行っている。有益な書である。読みながら賛同するところも多い。ただしよくわからないところもあり、そこはすぐにでも再読していきたい。国語教育は伝統の上にあぐらをかいているような状況であり、国語教師の劣化もはげしい。これでは母語としての日本語は滅びる。今のうちに国語教育の改革が必要なであり、そのためにすぐにでも動きははじめなければいけないい。2021/04/10
虎哲
0
今年1冊目の読了。自分の予備知識が無いことから遅々とした読みで他の本をつまみ食いしながらもなんとか読みきった。自分の考えていることや直面する問題と次々とリンクしていく実感に読んでいてワクワクした。「現についさっきの授業で学習者に、「外部の物語」を強制的に与え」(125頁)てしまう、「国語科の授業をつきつめると国語科をはみ出す」(323頁)などの可能性に自覚的になる必要がある。この本で難波先生が仮説的に示された6つの領域は「国語科」の持つ多様さ・複雑さを示している。扱いきれなかったことも再読して検討したい。2019/01/26