内容説明
進化論を素材に、科学理論と倫理思想との関係を考える。ダーウィン、スペンサーやハクスリーから社会生物学まで―進化論を中心として科学と価値判断との関係に鋭く切り込んだユニークな労作。
目次
第1部 ダーウィンの道徳起源論(ダーウィンの『人間の由来』;人間の進化の概要;社会的動物と群淘汰;人間と動物の心的能力 ほか)
第2部 十九世紀の進化論的倫理学(スペンサー『倫理学のデータ』;行為の善悪;生は善か?―楽観説対悲観説;利己主義の擁護? ほか)
第3部 社会生物学と倫理(社会生物学と現代の進化論的倫理学;自然淘汰説再考;血縁淘汰 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
5
良著と思う 倫理学をきちんと勉強してから読み直すと良さそう2014/02/07
SnowFlakeShow
1
ダーウィンの倫理起源論や近年のゲーム理論(ESSなど)が,倫理にどう貢献するかが論じられる.シジウィックらの功利主義倫理学をベースにして,倫理における選好充足最大化が進化における適応度最大化のプロセスとどのような類似関係にあるかを明らかにする.非常に興味深いのは,個人が採用すべき戦略は「概して「道徳的」であること」(少数の利己的振る舞いが残る)と述べ,功利主義と利己主義との対立が,進化ゲームからの類推を用いて解決されうることを示唆している点である.2011/05/18