内容説明
余情美の極致をみる。表現論・歌人論・享受世界、そして研究への詳細な案内のもとに新古今的表現を解剖する。
目次
第1章 新古今和歌集
第2章 新古今和歌集の主要歌人
第3章 新古今和歌集の享受を通して
第4章 新古今和歌集の研究史
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山がち
0
改めて、『新古今和歌集』とは何かと問う仕組みが必要なのではないかと思った。各歌人の歌風と歌集の歌風とは、本書でも指摘がある通り別問題なのである。近世において定家と家隆は並び称されることが少なくないように思われるが、本書で紹介されている家隆は、確かに「新古今的」と読んでみたくなるようなものはある。一方で、慈円をその知名度などから入集歌が増えたとする論、西行の生活に即した具体性などは確かに「新古今」の中では不思議な現象であろう。また、正徹や心敬といった定家主義にその幽玄・妖艶が見出されているというのも面白い。2014/06/01
山がち
0
新古今和歌集の成立や特徴について述べたのではなく、新古今歌人について書いた本と言ったところだろうか。本書の特色は、単なる新古今の研究のための本ではなく、むしろ新古今和歌集の注釈研究のための本のように思われる。そのくらいていねいに新古今和歌集の注釈研究について書いており、実際紙幅もかなりとっている。二条派の注釈研究が実際はどこまで進んでいたのかというのは、個人的に興味深い問題ではないかと思った。また、巻末の研究資料の紹介もかなり丁寧に書かれており、「学ぶために」というのはむしろここを指すのではとさえ思った。2013/09/04