内容説明
生と死に戦(おのの)く尖鋭の叫び。異常死への道程に小説を書き続けた作家達。―北村透谷から川端康成に至る10名の「生と死の文学」をとりあげ、日本近代文学のもつ悲劇的断層を明らかにする。
目次
北村透谷―「生命思想」の成立と崩壊
川上眉山―脆い花・その夢幻の死
有島武郎―魂の底を踏み抜いた自己劇化的な幻想死
芥川龍之介―晩年の位置をめぐって
牧野信一―憂鬱の霧に閉され
太宰治―水底の死と安息
田中英光―虚構の敗北に殉じた死
原民喜―原爆被災体験の深化と崩潰
三島由紀夫―弛緩と緊張の情念
川端康成―死生観と文学