内容説明
質的心理学を学び、実践するうえでの基本的問題とは?一貫して社会とつながる学問を探求してきた著者ならではの既成概念を打ち破る思索と実践にもとづく質的研究への誘い。
目次
1部 質的研究の意義とプロセス(フィールド研究のプロセス;研究デザインと倫理的配慮;心理学からみた質的研究)
2部 手法としてのフィールドワークとエスノグラフィ(フィールドワーク・クラスのエスノグラフィ;心理学で何ができるか―違和感分析への招待;現場に居ながらにして現場に入り込む方法としての違和感分析;文化心理学からみた現場を伝えるいくつかの工夫―セラピーの現場を考える;概念や尺度に惑わされない性格研究を)
3部 時間を重視する質的研究をめざして(複線径路等至性モデル―人生径路の多様性を描く質的心理学の新しい方法論をめざして;「社会と場所の経験」に向き合うためのサンプリング論再考―あるいはメゾジェネシスレベルの発生を描くということ;質的心理学の歴史)
著者等紹介
サトウタツヤ[サトウタツヤ]
佐藤達哉。東京都立大学大学院博士課程中退。博士(文学 東北大学)。福島大学行政社会学部助教授等を経て、立命館大学文学部教授/研究部長。専門は、応用社会心理学、文化心理学、心理学史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MasakiZACKY
1
サトウタツヤが自身の経験や独自(?)の方法論を踏まえて質的心理学の展望について語った一冊。第Ⅰ部はよかった。質的心理学の方法論や意義、実験(量的)心理学の欠点などについて分かりやすくまとめてある。とは言ってもありがちな内容で、第Ⅱ部と第Ⅲ部が本著の特色だと思われるが、誰もがやっていることに「~分析」とか「~モデル」と名前を付けただけだった。さらに量的アプローチに対する文句が非体系的に散見され、ちょっと格好悪い感じになってしまっている。基本的には、質的心理学について事例も交えて幅広く学べる良書ではある。2013/11/21